千葉ドリームスター 東京ガスと交流試合を開催! 身体障害者野球×社会人野球の歴史に刻む新たな1ページに

試合ではお互いのプレーを称え合う

試合は小雨の降る寒空の中スタート。それでも野球の熱が勝り、グラウンド・ベンチともども活気あふれた。

ドリームスターの先発は城武尊投手。上述の世界身体障害者野球大会では18年の第4回大会に日本代表として出場し、世界一に貢献した26歳の若武者。

日本代表で世界一経験もある千葉ドリームスターの城武尊投手

生まれつき左手の橈(とう)骨がなく、野球の際は主に右手を使いプレーしている。

小学生から野球を始め、高校からは身体障害者野球チーム「広島アローズ」に入団。同時にバドミントン部にも所属し、呉市の大会で準優勝を飾るほどの実力者。

広島国際大学時代も軟式野球部で主将を務め、野球の技術も磨いてきた。大学卒業とともに上京すると20年からは千葉ドリームスターに移籍、現在も投打の主軸を担っている。

元社会人野球の選手相手にも堂々とした投球を披露。

制球良く投げ込みアウトを重ね、フィールディングでも巧みにグラブを持ち替えて投ゴロをさばいた。

実績豊富な選手たちを抑え、ベンチからも労いを受けた

そして、もう一人の世界一戦士の土屋来夢選手。名実ともに日本を代表する遊撃手は、この試合でも左手で柔らかいグラブさばきとフットワークを見せると、打席でも鋭い当たりを見せた。

土屋選手は小学生時代に「少年軟式野球国際交流協会」主催の国際大会で日本代表に選出、中学では硬式クラブチームに所属し高校で甲子園球場を目指した。

城選手とともに打線をけん引する土屋来夢選手

しかし、高校1年生の夏休み中に練習後のグラウンド整備の際に右手を機械に挟まれる事故に遭い、親指以外の4本の指を失った。

利き手のため、日常の生活動作を一から練習する毎日を送っていた。そんな中、この年の暮れに父で現在ヘッドコーチを務める純一さんが見つけた千葉ドリームスターの練習に参加。

そこで再び野球に触れることで自身、そしてチームの未来を感じ入団した。

この試合でもアクロバティックな動きを見せた

15年初めに入団して以降、自身もチームも力をつけ毎年全国大会の舞台に立つまでになった。そこでのプレーも評価され、昨年の世界身体障害者野球大会での代表選出へとつながっていった。

試合は東京ガスが7-0で勝利。山口さんも打席に立ち豪快なスイングを見せるなど、グラウンド全体が一つ一つのプレーに沸き、拍手を贈り合った。

山口前監督も出場し、打席でフルスイングを見せた

特にドリームスターの選手が見せる、片手で打球をさばく”技”を見た時には、この日スタンドで観戦していた中学生チームから驚きの声が聞こえてきた。

試合後に同チームの選手からは

「お互いに協力し合う姿を見て、自チームでもベンチにいるときはキャッチャーの道具をつけるとか協力したい」

「相手チームのプレーを尊重して「拍手」をおくることはどんなスポーツでも共通すると感じました」

などと、励みになったコメントも寄せられた。

24年も更なる交流の機会増へ

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