谷口雄也さん ビジネスマンと野球人の二刀流か描く未来「今関わっている子どもたちがプロ野球選手になって戻ってくる姿を見たい」(全5回 最終回)
北海道日本ハムファイターズで11年間プレーし、現在は株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメントで事業統轄本部に所属しながら、アカデミーコーチを務める谷口雄也さん。
肩の怪我が引き金となり21年に11年間の選手生活にピリオドを打ち、昨年からはファイターズの球団職員として新たな人生をスタートさせた。
今年開業した「ES CON FIELD HOKKAIDO」のプロモーションに勤しみながらアカデミーコーチを務め、ビジネスマンと野球人の2つの顔を持ちながら活躍を続けている。
コラムはいよいよ最終回。昨年から始まった現在の活動や今後の夢について語っていただいた。
(取材協力:ファイターズ スポーツ&エンターテイメント、文:白石怜平)
「体ではなく頭が疲れるようになった」セカンドキャリアのスタート
22年1月から新たなキャリアをスタートさせた谷口さん。広報業務の一つとして、新聞やWeb媒体などで連載を持つなど早速ひっぱりだこになった。
ただ、自分で文章を書くといった表現をすることは初めての挑戦。赤字で返ってきた文の修正をひたすら繰り返した。
「今もパソコンを使って自分の言葉で原稿を書くこともありますが、最初は”直してください”っていうと赤字いっぱいで返ってくる。
書き言葉と話し言葉は全然違うというのを感じましたし、選手のときに自分のことを取り上げてくれた記者の方々が、当時こんな想いで書いていたんだなどと理解するようになりましたね」
これまではバットとグラブで己の生きる道を拓いてきた勝負師は、パソコンや名刺などが商売道具になった。ビジネスマンとして過ごし始め、感じたことを語った。
「今まで野球しかしてこなかったと思うと、改めて恐ろしいなと思いました。社会をもっと見るべきだと感じました。体は疲れないんですけど、頭が疲れるっていう部分がすごく増えていきましたね(笑)」
そして、野球人・谷口雄也としてもその価値は存分に発揮されている。同時にアカデミーコーチに就任し、未就学児から中学生までの子どもたちに指導を行っている。野球の指導をする立場になり、様々なことを吸収し始めた。
「『トップの位置はここで』とか、野球の専門用語はまだ小学生だと分からないと思うので、子どもたちの身近で起きている中で話すようにしています。
例えば”顔の前”って説明する時も『ご飯食べるとき、お茶碗はここで持つでしょう?字を書く時にこうやって書かないでしょう?だから顔の前ってここだよ』って示したりします。
先輩コーチたちの動きや話し方を吸収しながらちょっとアレンジをしていっています。上から目線で話をするのではなく、なるべく子供と同じ目線に立つように心がけています。小学生の低学年の子たちに教えるのが一番難しいなと思いますね」
「僕なりの発信の仕方がある」凝らした工夫