千葉ドリームスター「第31回全国身体障害者野球大会」出場 日本代表選手の活躍とベテラン2人の投手リレーで初戦快勝 夏の地区大会3連覇に向けた弾みに
2人の”10年戦士”も無失点リレー
守りの面では、2人の”ベテラン”投手がマウンドで輝いた。1人がこの試合の先発を務めた藤田卓。投手だけなく内外野をこなす貴重なユーティリティプレイヤーである。
藤田は学生時代の交通事故により、左腕が麻痺。チームが本格発足した2年目の12年に入団してからは投打ともに右腕でプレー、在籍年数は10年を超えた。
当時は初心者も多かった中での貴重な野球経験者。活動にも継続的に参加し、ドリームスターが強くなる過程を肌で感じてきた。
昨年は中堅手として出場。同じくほっともっとフィールド神戸で行われた準々決勝の岡山桃太郎戦、初回2死1・2塁のピンチで前に落ちそうな当たりをスライディングキャッチ。チームのピンチを救うプレーを見せていた。
今年はマウンドで存在感を発揮。2回無失点に抑える投球で、序盤の攻撃でつくった勢いを守りでも生かしてみせた。
「大事な試合の初戦、バックに助けられながら無失点に抑えられてよかったです。いい経験をさせてもらったので、これからもチームのために頑張っていきます」
と、ユーティリティぶりをさらに活かしていく。
2人目は藤田の後を継いで3回から登板した三浦敏朗。三浦も藤田と同じ12年に入団した”10年選手”。先天性の脳性麻痺による歩行機能障害を持ち、主に投手を務めている。
練習にはほぼ皆勤ペースで参加し続け、昨年ついに春の大会での初マウンドに立った。2年連続で出場を果たし、この試合がほっともっとフィールド神戸では初のマウンドとなった。
腕を真上から振り下ろし、弧を描きながら捕手のミットへと投げ込む。
昨年の初登板の時のように緊張したという三浦は当初ボール球が続くも、「捕手が後ろのファールをダイビングしてくれて緊張が徐々にほぐれた」と語り、ストライクが増えていく。
野手陣もその投球に応え、三浦を盛り立てた。レフトへ大きなフライが2球連続で飛ぶも、この試合は本職の投手から左翼を守った山岸英樹が走り込んでキャッチ。
打球がスライス回転する難しい打球をグラブからこぼれそうになりながらも先で押さえ、長打を防いだ。
しかし、その後は死球と安打でピンチを迎える。それでも三浦は腕を掲げながら大きな声と野手にアウトカウントを示し、自ら気持ちを落ち着かせると
後続を三ゴロに打ち取り、無失点で切り抜けた。
三浦は自身の投球については、
「最初ストライクが取れなくて不安だったのですが、野手のみなさんが全力で守ってくれましたし、信じて投げることができました。途中からは楽しむことができたのでよかったです」と安堵の表情を見せた。
次戦の準々決勝で敗退、8月の関東甲信越大会で3連覇へ