
Baseball5 ジャンク5が「ジャンクサマーカップ」開催 唯一無二の環境が生み出す、“真剣さ”と“楽しさ”の共存空間
7月19日、桜美林大学 町田キャンパスにてBaseball5の大会「ジャンクサマーカップ」が開催された。
都内で活動するBaseball5のチームから大学生など6チームが集い、たった一つのボールから大きな熱気が醸成された。
(写真 / 文:白石怜平)
オリジナリティ溢れる取り組みを重ねる「ジャンク5」
大会の主催はBaseball5の強豪である「ジャンク5」。一般社団法人「ジャンク野球団」を母体に持ち、野球との両立を図り活動している。
社会貢献活動を積極的に企画・開催し、ベースボール型スポーツの普及を率先して推進している。
チームの代表で侍ジャパンBaseball5代表監督も務めている若松健太氏が桜美林大の准教授であることから、競技と教育をリンクさせて新たなイノベーションを起こしてきた。
今年は1月と5月そして7月に特別支援学校を招待し、体験会を開催した。特に5月は全国の特別支援学校の生徒たちが硬式野球をプレーする「甲子園夢プロジェクト」とタッグを組んだ。
Baseball5を特別支援学校と行うのは“世界初“の取り組みであり、今も独自の取り組みを考え、具現化している。

年月をかけて構築した“環境”から実現した大会
ジャンク5がもうひとつ創り上げているのはBaseball5における“環境”。特筆するべき点は上述の普及活動だけなく、強化、教育という3軸が両立していることである。
ジャンク5は昨年行われた日本選手権の初代チャンピオンに輝き、侍ジャパンBaseball5代表には若松氏ほか、4選手を輩出している。

23年度からは若松氏の提案で、桜美林大での授業そして部活動にBaseball5が導入され、3軸の土台が構築されていった。
今年の4月からは独自に開発したフェンスも完備したフィールドも完成。ジャンク5や桜美林大の学生が毎週切磋琢磨し、技術向上も図られている。
さらに5月には新たな取り組みとして「ジャンクカップ」がスタートした。季節ごとの年4回行われる大会は、年月をかけて築き上げた環境から実現したものの一つである。
若松氏は大会を発足した経緯を以下のように述べた。
「現状、Baseball5の大会は1月の日本選手権しかないです。つまり1年に1度なので、選手たちのモチベーションを続けられるかの課題がありました。我々としてはこの課題を解消したいと。
フェンスも完備された本番さながらの環境は、ジャンクそして桜美林大学にしかないので、この好環境を利用するしかないと考えスタートしました」

選手権参加チームの参加や大学同士の交流も
5月に続き2回目の開催となった今回、集まったのは6チーム(※)。前回の4チームから参加チームも増えた。
※ジャンク5、Spirit Bonds、Minato Surpass、桜美林大学 Baseball5部 3年生、同大1・2年生、玉川大学(順不同)
特にSpirit Bondsは今年の日本選手権でベスト4入りし、有志大会「スピボン杯」を開催するなど活動の幅を広げている。また、ジャンク5も同大会で優勝を果たすなどチーム・大会間での交流も深まっている。
この日も22年に日本代表としてプレー経験のある宮之原健(元埼玉武蔵ヒートベアーズほか)ら5名が駆けつけるなど、大会を一層活気づけた。

そして今回初参戦したのが玉川大学。同大の参加は、5月からの縁が着実に芽を伸ばしていることを意味していた。
参加した面々は、玉川大学の阿部隆行准教授が主宰するゼミナールの学生たち。阿部氏は、上述の「甲子園夢プロジェクト」の代表でもある。5月に特別支援学校生がBaseball5を活き活きと楽しむ姿を見て、阿部氏も競技の魅力を肌で感じていた。
一方、阿部ゼミの学生たちは野球の他にもバスケットボールやラクロス、ハンドボールなど様々な競技に打ち込みながら、地域の小中学生を対象とした「マルチスポーツ教室」の企画運営などを行っている。
そのマルチスポーツ教室でのプログラムや、甲子園夢プロジェクトのサポートを通じてかねてからBaseball5に触れていた。
「若松先生と話す中で、大学所在地が同じ町田市にあるので桜美林大と玉川大の“町田ダービー”を実現したいと話していたんです」
そうも語った阿部氏は、今回大会を知ると同時に参加を即決した。

真剣さと楽しさが共存した試合に
試合は6チームによるトーナメント方式。1試合5イニングが15分〜20分で終わる競技のスピーディーさを活かし、かつ1日で全チーム・全選手が参加できるよう、1試合制で行う。
加えて正規のルールに沿うように、出場する5名のうち男女最低2名ずつで構成するスタイルを採った。
会がスタートすると、早速試合が順次行われていく。試合前練習の時間から素早く打ち込み、その打球を懸命に追いかけた。
Spirit Bondsはこれから対戦する玉川大生に「一緒に練習しましょう!」と積極的に声をかけ、フィールドの中で絆が自然と築かれていった。
ジャンクカップの特徴は“真剣さ”と“楽しさ”が共存していること。どの試合でも日本選手権を彷彿とさせる雰囲気が自然とつくられた。

フェンスに当たる打球音が体育館中に響き渡ると、横で練習をしてた選手たちが外野に集まり試合を見入っていた。若松氏も、コートに立つ選手たちの表情を一人ひとり見てその熱中ぶりを感じ取っていた。
「普段対戦しない相手と本番さながらの緊張感で試合ができる。なので観る方もやる方もしびれたと思います。初めて試合をするメンバーの経験としては最高だと感じています」
一方、ヒットを放ったりアウトにした時はチームみんなで讃え、拍手や声援を送り合っていた。玉川大生の面々も一つのプレーを重ねるごとに活気が湧き、守備を終えると全員が笑顔で出迎えた。

「一つ一つのジャンクカップを大切に」
大会は全5試合を無事に終了。2回目のジャンクカップを終え、若松氏はこのように総括した。
「スプリング、サマーと無事に終わりホッとしています。緊迫感がある試合を開催できていると感じるし、この環境・雰囲気が参加チーム同士の親交をより深いものにしてくれています」
それを象徴するシーンとして、玉川大生が全員で合間の練習でジャンク5の島拓也選手に教えを請いに行っていた。日本代表で主将を務め、世界を知る選手から直接聞けるまたとない機会。
打撃や守備についてその場で吸収しようと、積極的に質問をぶつけた。

阿部氏も途中で試合に参加し、攻守に躍動した。速い打球を捌いた際は対戦相手も拍手を送るなど、一つのプレーが終われば温かさも溢れた。
「最初は出る予定がなかったのですが、ゼミ生が背中を押してくれたのと、会場の雰囲気に後押しされて出ましたが、たくさんの歓声を受けながらプレーさせてもらいました。
男女混合・多世代・野球経験の有無関係なく誰もが楽しめるのもBaseball5の良さであると身をもって体験できました」

そして、今回はゼミ生が前向きにプレーする姿も見守った。学生たちのポジティブな感情は改めて心を動かされるものになっていた。
「学生たちは『次の大会はいつですか?』『次は絶対勝ちたい』『日本代表になるにはどうしたら良いか?』などと話していました。
Baseball5の大会に出た経験は、野球以外のスポーツをしている学生にとっても好影響を及ぼすことが実感できましたね。また、将来体育やスポーツの指導者を目指す学生にとっては、視野が広がった1日になったと思います」
ジャンクカップは次回9月に行われる予定。今後は参加チームを増やし、2日間にかけて行う構想も描いている。若松氏は競技の普及・発展を踏まえて展望を明かしてくれた。
「国内のチーム数を地方を含めて増やすと共に、レベルの底上げなどにつながってくれればと考えています。
毎回の反省や雰囲気を見て、また新しいアイディアが浮かぶと思うので、一つ一つのジャンクカップを大切に実施していきたい。
日本のBaseball5を強化・普及振興・教育で引っ張っていき、ベースボール型スポーツすべての振興につなげていきます」

上で若松氏が述べた3軸を束にし、牽引するジャンク5。その発信拠点が強固になった現在、そのスピード感はさらに増している。
(おわり)
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