
スポーツから東京の新たな文化を 東京グレートベアーズが目指す“世界に選ばれるクラブ”
2022年の発足からホームゲームの来場者数を大きく伸ばし、リーグ屈指の人気チームへと駆け上がっているSV.LEAGUE「東京グレートベアーズ」。
前編ではその背景にある集客への考え方や、特別な一日にするホームゲームづくりを中心に伺った。
後編では引き続き久保田健司代表に登場いただき、クラブを共につくるステークホルダーとの協業にフォーカスしながら、描く未来に迫る。
(取材 / 文:白石怜平)
パートナー企業とクラブは『同志』の関係
クラブの成長を支えている存在の一つがパートナー企業。
久保田代表はパートナー企業の存在について、「我々ほどパートナーさんとファンの境目がないクラブって、そう多くはないのではないかと思います」と自信を持って語る。
パートナー企業の経営者自身がバレーボール経験者だったり競技のファンであるケースが多いためだという。そこから社内でグレートベアーズの魅力を広めようとする人が自然と増え、時には数百人単位で社員がホームゲームへの応援に駆けつけている。
そこには単なる「協賛する企業」と「協賛されるクラブ」という関係を超えた絆があることから、久保田代表は“同志”と表現する。
両者の関係は、ホームゲームでの広告掲出だけにとどまらない。
パートナー企業が地域貢献を行う際にグレートベアーズとともにバレーボールスクールを開催するほか、社員向けのウェルビーイングに関するセミナー、クラブが培ってきたクリエイティブの知見をテーマにした企画なども展開している。
試合ではスポンサー企業同士が交流する場を設けてそこでつながった企業同士が共同でマッチデーイベントを行ったり、実際に新たな取引が始まったりする事例も生まれた。
数あるパートナー企業との共創であるが、久保田代表が印象的な例として挙げたのが、社内のコミュニケーションツールとしてクラブを活用してもらったことだった。
あるパートナー企業のコミュニケーションスペースには、グレートベアーズを紹介するブースが設けられている。
社員が「推し」の選手にシールを貼る仕掛けなどもあり、クラブが企業内のコミュニケーションに活用されていた。
企業規模を問わずグレートベアーズが社内活性化の一つのきっかけになっていることを知り、「一層頑張らないといけない」と感じたという。
スポーツを「青少年と社会との接点」に
スポーツを通じた新たな価値づくりを考える中で、グレートベアーズが力を入れ始めている領域がある。それが教育分野。
クラブは「青少年と社会の接点づくり」を増やすことを目指している。
取り組みの例としては、都内の高校の探究学習の一環でバレーボールのデータ分析や英語学習、グッズ売り場での就業体験といった実践的なプログラムを展開してきた。
生徒たちが目を輝かせて取り組む様子を知った久保田代表は、自身の少年時代を振り返りながら感じたことを語る。
「僕も小さい頃に工場やオフィス見学に行った記憶があります。スポーツはより親しみやすいと思いますね。子どもの頃はスポーツは観ること・することが中心なので、運営側やチームスタッフ側については新鮮味があると思うんです。
仕事とは何かという観点においても、スポーツは子どもたちもより前のめりになれるジャンルだと思うので、求められているんだなと感じています」
学校での授業に加えて25年4月にはU-15(男子)チームを発足させるなど、グレートベアーズは次世代との接点を模索している。これから発表する取り組みもあるそうで、着々と未来に向けた足場を固めている最中である。
「東京×スポーツ」で何を生み出すのか
地域との関係についても、久保田代表は「まだまだもっとやれる」と力強く述べる。
グレートベアーズはホームタウンの渋谷区・江東区をはじめ、東京のさまざまな地域や行政と接点を持ってきた。
東京には競技を問わず規模や歴史もあるクラブが存在する中で、「東京グレートベアーズだからできること」を突き詰めている。
そんな中で久保田代表は、東京そのものが持つカルチャーに注目していた。
「“東京って何だろう”と思った時に、東京の文化・音楽・ファッション・アート・伝統といったものを、スポーツを通じてキュレーションすることで、新しいスポーツ文化につながる動きが僕たちにできれば。それは僕らも求めているし、求められていることでもあるのかなと思います」

グレートベアーズがこれまで音楽やアート、クリエイターとの接点を積極的につくってきた背景。この話にも通ずるものがあった。
「東京のクラブであることを生かすとなった時に、企業数もクリエイターさんの数も日本で一番多い地域ですよね。才能が日本で一番多く集積しているのがここ東京だと思うんです」
「東京」を単なる所在地として捉えるのではなく、さまざまな人や文化が集まる都市そのものをクラブの強みに変えていく。それがグレートベアーズの目指す地域との関係である。
選手の「その後」もクラブの物語に
クラブの成長と共に、伝えるべき物語のページは積み重なる。久保田代表は元選手たちの活躍にも目を向けていた。
かつてグレートベアーズでプレーした選手が、現在はフィールドを変えて活躍の幅を広げている。そういった面にもしっかりとスポットライトを当てていきたい想いを抱く。
「今年の6月にデフバレーの男子日本代表監督に小田嶋大貴さんが就任しました。その他にもコーチや強化スタッフに我々のOBが入閣してます。
加えて今年ピックルボールで『TOKYO PICKLES by GREATBEARS』というチームを立ち上げまして、スタッフの平田亮介さんがアンバサダーに就任するなど、現役選手だった彼らが今どんな活躍をしているかも知ってほしいです」
現役生活にピリオドを打ったとしても、クラブとの物語が続いている。グレートベアーズで戦った面々が、その経験を次のステージや社会へと還元していく。
今後も続くクラブの新たなストーリーとして、その価値はコート上にとどまらず波及を見せているのだ。
海外の企業が「コラボしたい」と感じられるブランドへ
東京グレートベアーズ誕生から5年目となる2026-27シーズン。『RISES』をクリエイティブコンセプトに掲げ、これまでの延長線上にとどまらない進化を目指す。
久保田代表はここからの未来について、どのようなクラブ像を描いているのか。最後に尋ねると、その視線はグローバルに向いていた。
「国境を越えて楽しめるスポーツに関わっているので、強い、弱いだけじゃないグレートベアーズの価値を創りたいです」
そして、このように締めた。
「コラボレーションすることでお相手の価値が上がるようなクラブにしたいです。日本だけじゃなく、海外の企業さんだったりブランドさんにとっても、『グレートベアーズとコラボすることで自分たちの価値が上がる』と思ってもらえるような、そういう“グレベアブランド”になっていきたいです」

1万人のアリーナを埋め、東京の企業やクリエイターのプラットフォームとなって地域に根を張る。これらを一つひとつ達成しながら、“東京が誇るグレベアブランド”として輝きを放つ。
東京に集まるさまざまなものを繋ぎながら、東京グレートベアーズはバレーボールクラブという枠を越えた存在を目指していく。
(了)
【関連記事】
「渋谷の“みるスポ!”2025 」発足! 区と5チームが手を取り、「チーム渋谷」で地域に明るい未来を
TOKYO UNITE 「第5回 キッズスポーツフェス」を開催 マルチスポーツ体験の場は、憧れの世界と未来の可能性を繋ぐ架け橋に