
「みんなを活かすためにどう動くかを考えた」元サッカー日本代表 鈴木啓太 浦和レッズ入団からの苦労とオフト監督の教えとは?〜連載企画第1回〜
「お前は絶対使わない」からレギュラーを獲得
前年果たせなかったリーグ戦出場を目指し臨んだ2年目のシーズン。
鈴木は入団時に3年契約を結んでおり、1年目は身体づくりをメインにトレーニングを中心に、2年目にはJリーグの公式戦に出場し3年目にはレギュラー獲得することを考えていた。
迎えた01年シーズン、苦労と葛藤を抱えながら過ごしていた。鈴木はある出来事について話した。
「当時、監督から『お前は絶対使わない』と言われていました。そこで焦りはありましたね」
プロに入った時から掲げていた”日本代表としてワールドカップに出場する”とともに、チームで試合に出場しレギュラーを獲得することも直近の目標であった。これらを常に念頭に置き、日々のトレーニングから意識して臨んでいた。
目標を達成するために1つ1つのプレーを選択する。トレーニングの時から常に100%でボールを奪いに行き、味方であってもぶつかって行くことを厭わなかった。

「『お前の練習じゃないんだ』と。試合に出るためには自分がアピールをしないといけないので(自分の考えは)間違いではないと思いますが、監督が求められていることとは違いました。
ただ、最終的に監督がメンバーを決めるので、まずは監督に使ってもらえるようにしないといけない矛盾を感じていた。難しいなと思いましたね」
監督の言うことも理解しつつも、自身は一選手であり競争社会を生き抜かないといけない立場。当時20歳であっても、結果を残せなければユニフォームを脱がされてしまう。
「自分も若かったので、『それってダメなの?』とは思いましたね。もちろん監督の意図も理解できないわけじゃないし、僕が監督だったらそう考えると思います。
ただ、当時は監督じゃなくて一選手。当然気をつけなければならないですが、激しくボールを取りに行くことも必要になります。それでも伸二さんは『大丈夫だよ』って言ってくれたのが救いでした」
そんな中でもチャンスを掴み、当時の2ndステージ15試合に全て出場。第2節からはスタメンで出場しレギュラーを獲得する飛躍のシーズンとなった。
「チャンスが巡ってきて試合出れるようになって、『このチャンス逃したらもう先はない』と思いながら無我夢中でした」
と当時を振り返った。