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サッカー元日本代表 鈴木啓太氏「腸内環境はパフォーマンスに影響を与える」新ビフィズス菌が担う意識改革

「AuB−001」の持つ3つの特徴

「AuB−001」は3つの特徴を持っている。

キーワードは「ソルビトール」「短鎖脂肪酸」「耐酸性」である。ソルビトールとは、果実や海藻に多く含まれる天然の糖アルコールで世界で最も多く使用されている。

「AuB-001」は増殖・発酵する際にソルビトールを利用する。従来、ロンガム種のビフィズス菌では、ソルビトールを利用して増殖する能力(ソルビトール資化能)を持つ事例は世界で発見されていなかった。

この増殖する過程において、便通改善や免疫機能の調整に有益な「酢酸」や「乳酸」などといった「短鎖脂肪酸」。ここで2つ目のキーワードが登場する。

短鎖脂肪酸とはヒトの腸内環境に良い働きをもたらし、前述の酢酸には「感染症を予防する機能」と「免疫機能が過剰に働くことを抑える機能」両方のはたらきがある。短鎖脂肪酸を増やすことで、腸から体の調子を整えてくれる。

AuB社では、ソルビトール資化能と短鎖脂肪酸の産生能力について調べるため、ビフィズス菌ロンガム種の基準株と「AuB-001」を比較実験した。

実験結果では、基準株よりも酢酸を約11倍、乳酸を12倍強産生することを確認した。

そして3つ目の「耐酸性」。一般的にビフィズス菌は酸性の環境に弱く、経口摂取した場合には胃酸の影響で死滅しやすい。

「AuB-001」ではビフィズス菌基準株と比べるため、人工胃液と反応させて耐酸性を調査。基準株の生残菌数は30分後にはほぼ0となり、40分後には菌は未検出となったが、一方でAuB-001は試験をした60分後でも生存する結果が明らかになった。

人工胃液と反応させた「AuB-001」※左から0分後、30分後、60分後(AuB株式会社提供)

5年に亘る地道な調査で発見へ

今回の「AuB−001」は、2015年10月の創業以来初となるアスリートから発見された腸内細菌である。ここに至るまで約5年間、地道な研究を積み重ねてきた。

AuB社はこれまで700人以上のアスリートの腸内環境の情報を集めてきた。しかし、創業当初は0からのスタートだった。情報を集めるためにはアスリートの便を採取することが必要で、鈴木氏が親交のあるラグビー日本代表・松島幸太朗選手やプロ野球・嶋基宏選手らの協力を得て知見を溜めてきた。

「アスリートと一般の方でどのような違いがあるのかをテーマに設定して、多くの検体を集めました。やはり『アスリートの腸内環境が特徴的である』というのが分かってきたので、その中で複数の菌に照準を当てて1つ1つ調査を重ねた結果発見しました」

多くの菌の中から特徴的なものを見つけ出し、その中でも協力いただいた元オリンピック選手の持つ腸内細菌であることが判明した。

そして冒頭の説明の通り、世界で初めての新しいビフィズス菌であるということから国際特許取得へと進める。発見から申請まで2年を要した。

「再度その菌を取得して培養する必要がありました。また、世界で基準とされている菌株があり、その菌株よりも能力が高いものになって初めて特許が取得できるので(特許申請までに)時間はかかりましたね」

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