
「常に高い基準をキープする」ブラックラムズ東京・中楠一期が体現する“勝利へ導く司令塔”の価値
4月17日のNTTジャパンラグビー リーグワン第15節。リコーブラックラムズ東京は三重ホンダヒートを相手に前半から6つのトライを奪うなど大きくリードし、49-5で勝利を収めた。
この試合も司令塔である中楠一期は今シーズン自身2番目に多い19得点をマークし、勝利に貢献した。現在シーズンでの通算得点も169点で、得点ランキングのトップを走っている。
この日は自ら2トライも決め、キック以外でも得点を叩き出した。
トライのシーンについて問うと、「綺麗な形ではないですが」と謙遜を交えながらも、学生時代から培ってきたこだわりが結果に結びついたことを明かしてくれた。
「リアクションのところ、オフ・ザ・ボールのところにはこだわりを持ってやっています。学生時代から、そういったところにこだわるチームでプレーしていたので。そこへのこだわりが、結果としてトライという形になったのはチームにとっても大きかったかなと思います」

この試合は、得点面以外でも自身の価値を際立たせていた。それは後半27分からの場面。柱であるキャプテンのTJ・ペレナラがイエローカードで一時退場を宣告されてしまった。
SHを欠いてさらに数的不利にもなった状況だったが、その代役をも中楠が務めた。
「すごいタフな部分でしたけど、想定はしていました。練習もしていたので、やるだけでした」
その言葉通り、中楠は素早い球出しと的確な判断でアタックを停滞させることはなかった。事実、自身が決めた2つ目のトライは一時退場の時間中に決めたものだった。

ピッチサイドで戦況を見つめていたペレナラも中楠が見せた対応力に賛辞を送った。
「一期の9番としてのプレーには、感銘を受けました。皆さんも同じ意見だと思いますが、彼のランそしてキックも本当に素晴らしかった。彼があのまま9番に転向したいなんて言い出したら、僕のポジションも危うい。戦々恐々としていますよ(笑)。
終わってから彼と話したら『ハーフでのプレーはめっちゃ楽しかった』と言っていました。彼はすごく優れた選手ですし、ラグビーを知っているので、どこのポジションでもできると思います」

中楠は今季の開幕から、“一貫性”という言葉をテーマに掲げている。それは調子の良し悪しでパフォーマンスが低下するのではなく、「常に高い基準でキープできる選手としてプレーしたい」という想いの表れであった。
キッカーを務め、コンバージョンキックやペナルティキックなど得点に直結するポジションでもあることから、「調子が悪かった時に40点とかに落ちず、70点・80点を常に維持できるようにしたい」と語ってきた。
シーズンも最終に差し掛かりプレッシャーが一段と増している中、その一貫性は勝利のピースとなっている。
「キックの精度は、どれだけ高くてもいいので上げ続けたいです。それに加えてミスをしないこと。チームにマイナスを与えない選手になりたいです」

49-5というスコアの裏側には爆発的な得点力だけではなく、試合の流れを崩さない設計があった。
その司令塔として試合を組み立てた中楠が積み重ねているのは一貫した基準であり、その基準こそがブラックラムズ東京の安定した強さを支えている。シーズン終盤へと向かう中で、その価値はさらに大きな意味を成していく。
(写真 / 文:白石怜平)
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