
「最後の夏をもう一度」全国から36人が沖縄へ JAPAN SUMMER LEAGUE2026出場選手決定、菊池雄星「K.O.H」も参画
8月17日から沖縄県で開催される高校3年生対象の実戦リーグ「JAPAN SUMMER LEAGUE2026(ジャパンサマーリーグ、以下JSL2026)」の出場選手36人が決定した。
今夏の全国高等学校野球選手権地方大会に参加したのは3,662校3,363チーム。そのうち甲子園への切符を手にすることができるのは49校で、参加校の約1.3%に限られる。
地方大会を終え、高校野球生活に一つの区切りを迎えた3年生に、もう一度ユニフォームを着て実戦に臨む機会を提供するJSL。2年目となる今夏も、全国各地からそれぞれの思いを持った球児たちが沖縄へ集まる。
大会は8月17日から21日までの5日間、コザしんきんスタジアムなどを舞台に開催される。
(写真提供:株式会社ジャパンリーグ)
全国から36人が出場 所属校の枠を越えて同じチームへ
今回出場する36人の内訳は投手14人・捕手7人・内野手9人・外野手6人。
沖縄県内出身者が23人・県外から12人そして在沖米軍基地在住の選手が1人となった。
沖縄大会決勝で沖縄尚学に3-4で敗れたエナジックスポーツ高等学院からは5人がエントリーしたほか、浦和学院・帝京・八戸学院光星・松山聖陵・興南などでプレーした選手たちも名を連ねている。
JSLの特徴の一つは、所属高校ごとではなく主催者側が選手を編成してチームを作ることである。
甲子園まであと一歩に迫った選手も、公式戦で十分な出場機会を得られなかった選手も、学校や地域の垣根を越えて同じグラウンドに立つ。
大会期間中は1日2試合、5日間で全10試合を7イニング制で行う予定で、参加者全員に出場機会が保証される。
昨年の第1回には全国から37人が参加した。
大会を運営する株式会社ジャパンリーグの鷲﨑一誠代表は初年度を振り返り、「幅広いキャリアのフォロー」「スキルアップの場所」そして「野球人生にピリオドを打つ場所」という3つの役割があったと説明する。
「試合に出ていなかった選手や出場したけど初戦で負けた選手などが参加して、十分な出場機会がある中で野球や野球以外の進路についてもキャリアサポートができました。
野球での進路が決まっている選手たちも、一流のトレーナーやコーチの指導を受けながら次のキャリアに向けたスキルアップの場所として使っていただきました」
高校野球最後の大会を終えた後、「次」に進むための5日間。それがJSLの担う役割となっている。
TrackMan、BLASTで「自分の現在地」を数値化
JSLでは試合に出る機会を提供するだけでなく、選手が自身の能力を客観的に知る環境も整える。
全試合で弾道測定器「TrackMan」とスイング解析機器「BLAST」を使用し、全投球・全打席を計測。球速や回転数、打球速度などを選手本人にフィードバックする。
こうした計測環境は全国の高校野球部に均等に整備されているわけではない。最新機器を使う機会がなかった選手にとって、自身のプレーを数値として知り、次のステージへ持ち帰る機会にもなる。
出場する長山武蔵投手(日本ウェルネス高等学校沖縄キャンパス)は、「二刀流でバッターと投手の両方に自信があるので、少しでも結果を残したい」と意気込む。
帝京高の関健志朗投手は、将来の目標にメジャーリーグを掲げる。
「自分の強みは、目標達成のために逆算して努力する力と継続力です。将来はピッチャーとしてメジャーリーグで活躍することを目標にしています。このリーグで高いレベルの選手と対戦し、たくさんの知識を吸収して成長につなげたい」
また、大曲農業高の土井大斗内野手は「フィジカルを強化して142キロのベンチプレスを上げることができます。また、守備にも自信があり、チームではキャプテンを務めました」と自身をアピール。
実戦で結果を残すだけでなく、自らの武器や課題を知ることも5日間の重要なテーマとなる。
菊池雄星投手が設立した「K.O.H」と提携
さらにJSL2026では、選手育成の環境が強化される。
7月に菊池雄星投手(エンゼルス)が故郷・岩手県花巻市に設立したトレーニング施設「K.O.H(King of the Hill)」を運営する合同会社K.O.Hとの業務提携を発表した。
K.O.Hは最新のトレーニング・計測設備に加えて、野球スクールやパーソナル指導・コミュニティスペースなどを備える施設。投手コーチやトレーナーも常駐している。
鷲﨑代表は実際に花巻市の施設を訪れたといい、
「スタッフの皆さんが非常に優秀でした。菊池雄星選手がオフに帰ってきた時にもスタッフがしっかりサポートをして自主トレを一緒に行っているというところからもレベルの高さが分かります。今回はK.O.Hのスタッフに来て、選手を指導していただきます」と期待を寄せる。
今大会には、元埼玉西武ライオンズの赤上優人氏がK.O.Hからのピッチングコーディネーターとして参加する。
赤上氏は東北公益文科大学から2020年育成ドラフト1位で西武に入団。22年に支配下登録され、24年に現役を引退した。現在はトレーナー資格も取得し、K.O.Hでピッチングコーチを務めている。
提携発表の会見では自身が本格的に投手を始めたのが大学時代だった経験も踏まえ、以下のように語った。
「これから投手に挑戦する選手や、投手として成長したい選手の気持ちも理解しながらサポートできると思っています。一人一人の課題や体の作り方に合わせたトレーニングを提案したいですし、家や学校に戻っても継続できる内容にしたいです。このサマーキャンプが高校生にとって成長のきっかけになるように、全力でサポートしていく」
「環境が人を育てる」菊池雄星から球児たちへ
提携に際しては、菊池投手からもJSLに挑戦する選手たちへメッセージが寄せられた。
「K.O.Hの根幹には『環境が人を育てる』という信念があります。選手が夢の実現に向かって本気で挑戦できる環境を作り、その挑戦を支え続けることが未来の野球の発展につながると信じています」
自身も高校卒業後、プロ野球、そしてメジャーリーグと舞台を移しながら挑戦を重ねてきた菊池。
「この場所で本気で挑戦した経験は、野球人生において必ず大きな財産になるはず」と参加選手に期待を込めた。
「このリーグから一人でも多くの選手が夢をつかみ、いつの日かプロの舞台で共にプレーできることを私自身も心から楽しみにしています」
高校最後の夏を終えた36人が自分自身の現在地を知り、新たな仲間や指導者と出会い、次のステージを考える5日間が始まる。
「最後の夏をもう一度」。
それぞれの高校で一度は迎えた夏の終わり。その“続き”となるJAPAN SUMMER LEAGUE2026は、8月17日に沖縄で開幕する。