「自分の価値観にある当たり前をどんどん壊していきたい」久保康友 今後も野球を通じて海外を渡り歩くその想いとは?〜海外リーグ編②〜
野球を通じた世界遺産巡りの旅はまだまだ続く
久保からは、インタビューを通じて”楽しい”というフレーズを多く聞くことができた。NPB時代は毎日が生き残るための競争であったが、今は野球も”趣味”として純粋に楽しんでいる。
「環境の変化を通じていろいろな方、違う考えを持つ方たちが世界中から集まってきているというのが楽しかったんですよ。あと、ストレートに表現していいかわからないですが、野球そのものを楽しんでいます。技術が上手くなったりすごい選手のプレーを見るのが好きなんです」
そして、海外を渡り歩く最も大きな要因を明かしてくれた。それは野球の実力も兼ね備えているからこそできるスタイルだった。ここでも笑顔で想いを語った。
「今1番の趣味は世界遺産巡りなんです。世界遺産のある場所で野球をしながら巡りたいっていうのが1番なんです。ヨーロッパなどまだ行っていない地域がたくさんあるので、野球を通じて世界遺産巡りをしたいんです。真剣にやってる人からすると”ちゃんと取り組んで”って思われるかもしれないですが(笑)」
侍ジャパンの世界一奪還で幕を閉じたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。準々決勝で対戦したイタリアや、他にもイギリスなど欧州の国が参加した。サッカーに比べると競技人口は届かないが、野球のリーグも行われている。
昨年の取材時に欧州にリーグがある点について問うと、ここでも笑みを見せた。
「すごく狙ってます(笑)。ただ、一つ言えることは、自分の野球のレベルが下がってしまったら高いレベルでできない。ドミニカとかベネズエラとなるとNPBもしくはそれ以上の実力がないとそもそもプレーすることができないです。なので、自分のできる目一杯で少しでも高いレベルにチャレンジして行きたいです」
その狙い通り、昨年暮れにドイツの野球ブンデスリーガのハンブルク・スティーラーズへと入団した。コロナ禍で満足にできなかった世界遺産巡りを再開するとともに、現役としてのプレーも続行する。
4カ国目の挑戦となる久保は今後、どんなスタイルを目指しているのか。インタビューの最後に訊ねるとこう答えた。
「日本を出るまでは、NPBでいろいろなチームを経験しているので、どちらかと言うと考え方は柔軟性がある方だと思っていたのですが、それが外国に行ったときには”あぁまだまだ考えが固いんだな”とすごく思いました。
これは国内でやってるだけでは絶対にわからない部分ですし、次の違う国の文化に触れるとまた違う考え方があると思うので、自分の価値観にある当たり前をどんどん壊していきたいなと思っています」
今シーズンオフに帰国した際、どんな文化を吸収して帰ってくるのか。そして野球でもどんなパフォーマンスを発揮するのか。また新たな久保の姿を見るのが早くも楽しみである。
(おわり)
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