「第30回全国身体障害者野球大会」3年ぶり全国16チームで開催 香川チャレンジャーズが創部1年半で大会初参戦

創部から1年半、初出場の「香川チャレンジャーズ」

今大会注目の1つは、初出場となった香川チャレンジャーズ(以下、香川)。昨年4月に発足した香川県初の身体障害者野球チームである。

チーム誕生のきっかけとなったのが、現在代表を務める山中達也氏。山中氏は06年の育成ドラフト1位で広島東洋カープに入団し、10年までプレーしていた。

現在丸亀市の職員でもある山中代表は、同じ四国のチームである徳島ウイングスの練習を見学したことがきっかけで、県内でのチーム設立に奔走。今年1月には連盟に38番目のチームとして加わった。

下肢障害を持つ選手の割合が上肢障害の選手に比べ多いのが特徴で、現在27人の選手、11人のスタッフで活動を行っている。

本大会には、登録初年度で招待される「普及枠」として参加。四国の身体障害者野球をさらに活性化させるべく、神戸の地へとやって来た。

初出場となった香川チャレンジャーズ(赤いユニフォーム)

香川は初日の14日にほっともっとフィールド神戸で初戦を迎え、本大会ベスト4となる「ぎふ清流野球クラブ」(岐阜県)と対戦した。

この試合、背番号18を着け先発マウンドに立ち、打っては4番を務めた村瀬憲夫投手が投打に奮闘。2回裏に守備の乱れなどで5点のビハインドを背負うも、直後の3回表に満塁のチャンスをつくると自身の走者一掃2塁打で2点差まで追い上げた。

しかし、その後は両軍1点ずつ加えるも4-6で試合終了。全国大会での初勝利には惜しくも届かなかった。

この試合、投打の軸を担った村瀬憲夫投手(背番号18)

試合後、土居正信監督は「初回のピンチを何とか0点で切り抜けて、勢いに乗っていけるかと思ったのですが、守りから崩れてしまいましたね」と悔しい表情を浮かべながら守備への課題を口にした。

67歳の土居監督も二塁手としてフル出場。スタンド上段に響くほどの大きな声でチームを鼓舞した。「叫んでいましたね。僕の仕事ですから(笑)」と語り、チームへ闘志と活気をもたらしていた。

創部から約1年で全国大会の舞台に立ち、ベスト4のチームを相手に2点差まで詰め寄り善戦した。今回参加した選手は10人、EDH(特別指名打者:守備9人+指名打者の10人で攻撃するルール)を使い全員が出場するなど、まさに”全員野球”で臨んだ大会だった。

「この1年間で間違いなく選手は成長しています。野球初心者でゴロを捕球するところから始まりましたし、やった分だけ上手くなることが分かりました。ステップを踏みながらさらに前に進んで行きたいです」

大きな声でチームを鼓舞した土居監督

大きな一歩を踏み出した香川チャレンジャーズ。来年は普及枠ではなく実力で勝ちとる覚悟が滲み出ていた。

「またここに来るのは簡単ではないと思います。中・四国大会で勝ち進まなければならない。生半可な気持ちでは勝てないです。(ユニフォームに記された”Challengers”のロゴを指して)この通りなのでね。向かっていきたいです」

初日もう一つの注目カードは、関東を制覇した千葉ドリームスターが昨年選手権の”リベンジマッチ”に臨んだ。

(つづく)

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