「野球は外でするもんや!」元阪急ブレーブス 福本豊さん かつての”世界の盗塁王”の想いと身体障害者野球のルーツ

伝統は後輩たちにも受け継がれる

福本さんが行ってきた社会福祉活動は、自身が現役の時だけでなく引退後も継続した。89年からオリックス・ブレーブスのコーチに就任してからも訪問を行っていた。

「僕もルーキーの時からのじぎく園などに連れて行ってもらったんですね。それから、僕は毎年入って来る新人を連れて行っていたんですよ」

現在オリックス・バファローズジュニアの監督を務める小川博文さんもその一人。

小川さんはオリックス・ブルーウェーブ時代、「がんばろうKOBE」の下、95年・96年のリーグ連覇そして日本一に貢献した名内野手。88年にプリンスホテルからドラフト2位で当時のオリックス・ブレーブスに入団し、最初の3年間は選手とコーチの関係であった。

小川さんも福本さんとともに訪問した当時のことを以前語ってくれていた。

「福本さんはすごく社会福祉活動を積極的に行っていました。僕が入ったときのバッティングコーチで、その時に施設へ連れて行っていただきました。実際に行くと、僕たち以上に頑張っている方々がたくさんいるんです。みなさん笑顔が絶えないんですよ。

僕自身もすごく感銘を受けまして、もちろん野球もですけれども、お互いに励まし・励ましてもらって両者が頑張る活力になる良い関係を築きあげていたんだなと感じました。

そういう先輩方の良いところを取り入れて、受け継いでいくのが伝統だと思いますし、良い伝統は続けていかなきゃいけないです」

現在オリックス・バファローズジュニア監督の小川博文さん

福本さんも福祉活動を行い続ける意義を語ってくれた。

「みんなと交流することでね、『俺たちもがんばらなあかんな』ってね。身体障害者野球の選手たちが、野球の練習しながら頑張っている姿も見るとね、逆にハッパかけられますよ。元気をもらいます」

次ページ:「いろんな人にこの野球を見てほしい」”世界の福本”の願い

関連記事一覧