千葉ドリームスター 「第23回全日本身体障害者野球選手権大会」初出場。発足10年で手にした夢舞台の記録(後編)

関東に続く先発となった篠原も好調を維持。ストライクゾーンに吸い込まれるような投球で相手打者を翻弄。公式戦や健常者との試合で結果を残し続けた左腕は、この日も期待に違わぬ投球でスコアボードに0を刻み続けた。

関東甲信越大会以降も好調を維持した篠原

当初の予定は2イニングだったが、小笠原監督もリズムの良さから予定を変更しさらに1イニングを託した。その1イニングも難なく抑え、3回無失点と試合をつくりバトンを繋いだ。

3回表には前日先発し、この日も5番に入った山岸のタイムリーなどで1点を追加。2−0とリードを広げる。

その裏に追いつかれ、また重苦しい雰囲気が流れかける中、ベンチでもグラウンドでも率先して声を出す城がさらに発奮させる。

カウント2-1からの4球目、打球は軽々と右中間を抜けていき快足もあり悠々ホームイン。ランニング本塁打で2点を勝ち越した。後続もつなぎ4点リードで迎えた最終回。

1点を失ったところで小笠原監督は城への継投を決断。前日もリリーフで1イニングを投げ連投となったが、この日も打者2人を抑えたところで試合時間の100分に。

6-3でドリームスターが勝利、龍野戦も3試合目にして初勝利そして選手権も初勝利と一矢報いた。1勝1敗で最終順位は5位で確定した。

10年の節目で初の参戦となった選手権。選手・スタッフはみな「悔しい」という語り但馬を後にした。

来年もこの地に戻る決意を固め、千葉に戻った

小笠原監督も試合後、

「初めての球場、初めての対戦相手に空回りしてチカラを出し切れなかったのは残念でした。次こそ!があるように、まずは関東を勝ちきるチカラを付けていきたいですね」

と想いを口にした。

ドリームスターは翌々週から活動を再開。第2回小笠原ミニ大杯を開催するとともに、この秋からは県内の女子野球チームとも交流試合を行うなど精力的に動いている。

コロナ禍になる前は、毎年地元市川市の小学校に訪れ体験授業を行っていたが今月に再開する。千葉県唯一の身体障害者野球チームとして、県内そして全国へとこれからも発信していく。

(おわり)

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