千葉ドリームスター 「第23回全日本身体障害者野球選手権大会」初出場。発足10年で手にした夢舞台への記録(前編)

関東甲信越大会初制覇。選手権の切符を掴む

また、昨年中止となり2年ぶりに開催となった「ゼット杯争奪 関東甲信越身体障害者野球大会」にも出場。関東甲信越身体障害者野球連盟に加盟している6チームの代表者で開催可否について協議した際には、

「身体障害者野球の灯を消さないためにも、仮に2チームであっても開催したい」

という考えが一致し、全チームの快諾を得た。最終的にドリームスターと東京ジャイアンツの2チームで関東甲信越の頂点を争うことになった。

今年の関東甲信越大会で初優勝、秋の選手権へと進出した

9月4日、東京・世田谷公園で行われた1戦。試合直前まで雨が降る中、強力な援軍が試合を盛り上げた。

元NPB審判で通算1451試合に出場した山崎夏生氏が球審として試合を裁いた。山崎氏は1984年4月から2010年10月までパ・リーグの審判として活躍。

後に共にメジャーリーグで活躍するイチロー氏が野茂英雄氏から放ったプロ初ホームラン(93年6月12日)や今シーズン限りで引退した松坂大輔氏の鮮烈デビュー戦(99年4月7日)でも審判を務めるなど、昭和から平成のパ・リーグを築いてきた名審判。

現在は“審判応援団長”として、全国各地へ飛び学生や女子そして身体障害者といった様々なジャンルの試合を裁くとともに、講演や執筆活動を行っている。

元NPB審判の山崎夏生氏(写真左)。大学の後輩でもある石川弘之氏(同左)とともに駆けつけた

試合は、緊張感あふれる雰囲気の中でスタート。先発のマウンドには篠原敦が上がった。

篠原はチーム創設期の2011年に入団したサウスポー。幼い頃の交通事故により右半身まひの障害があり、主に左手一本でプレーしている。

幼少期から野球が好きだったというが、「半身がまひしているので、少年野球チームに入団する勇気がなくいつも羨ましいと思っていました」と語る。

10年前に千葉県内で身体障害者野球チームが結成される記事を読み入団を即決。現在も練習を続けている。

投球では、低めに集めるストレートと沈むチェンジアップで打たせてとるスタイルが持ち味。リリース後も軸足の左足で踏ん張るため、マウンド上で仁王立ちするような姿も特徴である。

篠原は今シーズン、序盤から好調を維持。浦安リーグでも健常者相手にリリーフで無失点投球を続けていることから、富田寅蔵スコアラーも太鼓判を押していた。

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