身体障がい者野球チーム「千葉ドリームスター」の成り立ち(後編)

チームの変化とこれからの目標

―設立して10年、チームはどう変わってきましたか?

笹川 少しずつ技術も上がってきました。コツコツと練習日程を埋められるだけ埋めて、普段来れない選手もどこかしらで来れるようにやり繰りしていましたので。

選手たち個人も変わっていきましたよ。最初来るとき一人で参加することがほとんどなのですが、たいていは「僕は人と接するのが苦手で」と言うんです。でもいいからキャッチボールしようと。それで野球を始めちゃえば慣れるものなので、野球を通じてコミュニケーションを重ねることで選手も馴染んでくれました。

あとは、先ほどお話した富田スコアラーもそうですが、一緒にプレーができなくてもチームに協力してくれるメンバーが増えてきました。仲村選手は現在車いすで生活していて、しばらくプレーはできないのですけれども、写真を撮ったりSNSに上げるためだけでも来てくれます。

あと休部中の選手も、毎年関東甲信越大会の告知フライヤーを作ってくれています。こういった選手が増えているのでチームも軌道に乗って来ているのかなと感じます。

富田スコアラーも野球の練習に参加しプレーを楽しんでいる

ただ、最近は近隣のチームでもメンバー不足に悩まされているという声も聞こえてきている状況なので、自分のチームだけではなく近隣のチームとも連携を図り、まだまだ認知度の低い身体障がい者野球自体を盛り上げていかなくては。とも思っています。

連盟の構想にも、少なくとも47都道府県に1チームずつ47チーム、というのがあるようなので、ちょうどあと10チームですか。メンバー不足のチームもありながら、なかなか難しいこととは思いますが。

―これから連盟に加盟するチームとか、加盟せずに活動しているチームがあるのですか?

笹川 知っている限りでは、近いところで埼玉に新チームができ、連盟加盟を目指して活動してます。それと茨城で、これから新チームを立ち上げようという声が上がってますね。隣県なので、私達の立ち上げ時に、全面的に協力していただいた東京ブルーサンダースさんのように、私達も茨城に出向いてお手伝い出来ればと思っています。

横浜には連盟加盟を目指さず、障がいのある子ども達も募って、野球だけでなく、レクリエーションにも力を入れて活動しているチームがあります。競技志向に走るのではなく、これが本来あるべき姿なのかも知れませんね。

―最後に、今後のチームの目標をお願いします。

笹川 目標は関東甲信越大会優勝です。そして日本選手権に出たいです。選手権に出るためは関東甲信越大会を優勝することが条件になるので。今年も準優勝でしたけれども、来年また挑戦です。

アマチュアの野球って、よく楽しくやるだけの野球をやるのか、上だけを目指してやるのかって話が出るのですが、うちは障がいの重い軽いに関わらず、今いる戦力、また、そんなチームの方針に賛同して、これから加入してくれる選手全員で、楽しくもやりますし、日本選手権出場を目指します。

強い弱い関係なく、とにかく応援してもらえるようなチームにしていきたいと思っています。

発足から10年を迎えた千葉ドリームスター。日本選手権の制覇に向けてこれからも挑戦は続いていく。

(取材 / 文 白石怜平)

関連記事一覧