車いすマラソン 「Challenge Tokyo Para 42.195km in 立川」開催 4月の世界ランク確定に向けて急遽開催も結果は厳しく

車いすマラソン 「Challenge Tokyo Para 42.195km in 立川」開催 4月の世界ランク確定に向けて急遽開催も結果は厳しく

3月7日、車いすマラソン(T54)のスペシャルレース「Challenge Tokyo Para 42.195km in 立川」が陸上自衛隊 立川駐屯地にて行われた。

車いすマラソン「Challenge Tokyo Para 42.195km in 立川」が開催された(写真:内田和稔)

3月7日、車いすマラソン(T54)のスペシャルレース「Challenge Tokyo Para 42.195km in 立川」が陸上自衛隊 立川駐屯地にて行われた。

気温7℃の中、約2500mトラックを16周

「Challenge Tokyo Para 42.195km in 立川」は東京パラリンピック出場権をかけた大会で、男子9選手、女子2選手が参加した。

<参加選手>
男子:渡辺勝(凸版印刷)、山本浩之(NPO法人はぁとスペース)、吉田竜太(SUS) 洞ノ上浩太(ヤフー)、副島正純(ソシオSOEJIM A ) 吉田高志(奥アンツーカ)、西田宗城(バカラパシフィック)、武村浩生(ヤフー)、樋口政幸(プーマ)
女子:喜納翼(タイヤランド)、土田和歌子(八千代工業)
※いずれも当日のレース番号順

東京パラリンピックに出場できるのは各国3名。すでに内定が決まっている鈴木朋樹(トヨタ自動車)を除く2枠を争う。

4月1日時点で「世界ランキング6位以内かつ、他の選考方法(ハイパフォーマンス割当枠以外)で出場資格を得た選手を除き上位2名の選手」が条件の1つであるため、パラリンピックに向けた選考大会として急遽開催された。

会場である立川駐屯地は国営昭和記念公園に隣接しており、約1.1km+1周約2.5kmのトラックを使用。ここを16週するため、フィジカルに加えて忍耐力も求められるレースとなった。

洞ノ上が優勝するも、目標タイムに届かず

男子レースは10時にスタート。目標タイムは、1位=1時間20分59秒、2位=1時間22分23秒に設定された。
序盤3周目頃から吉田竜太、洞ノ上、副島、樋口の4選手が先頭集団としてリードした。

長距離を走る車いすマラソンでは風の影響に左右される競技のため、「ローテーション」先頭を交代しながら走る。途中冷たい風が吹き付ける中、4人が声を掛け合いながら先頭を入れ替えて走った。

洞ノ上(4番)を先頭に4人でローテーションを組んだ(写真:内田和稔)

樋口は中盤で失速し先頭から離脱し最後DNFとなってしまうも、それならばと先頭集団をフォロー。自らが3選手の前に立ち、風よけ役を買って出た。

レースは洞ノ上が優勝。しかしタイムは1時間30分40秒と及ばす、内定には厳しい記録となった。

洞ノ上はレース後、4人でローテションを組んだおかげでスタミナは切れなかったとしながらも「大きい集団でのローテーションを想定していた、早めに4人になってしまったのが誤算だった」とタイムが伸びなかった原因を振り返った。

女子は喜納が優勝。世界ランク4位で内定に期待

女子2名で参戦。土田も「女子の選手でローテーションが組めたのが収穫」と語った(写真:内田和稔)

女子の目標タイムは1位 1時間35分50秒、2位 1時間36分20秒に設定。尚、1位の記録は喜納のベストタイムである。

こちらも10時にレース開始。中盤まで両者が先頭を変えながらローテーションを組んだ。

「タイムレースになるので2人で協力できたらと考えていた」レース後にこう話した土田だが、実は今大会の参加を見合わせることも検討していたという。喜納の参戦が今回自らも出る決断を後押しした。

一方の喜納も「周回コースは初めてでしたし、土田さんと共に走れたのはいい経験になりました」と語る。

現在世界ランク4位で代表内定が期待される喜納(写真:内田和稔)

中盤以降は喜納がリードし、そのままゴール。タイムは1時間45分04秒。自己ベストには届かなかったものの、現在は世界ランク4位。代表内定に向けて最も期待されている。レース後に意気込み聞かれ、内定が出てからと前置きした上でこう語った。

「これからしっかり走り込んでいって、走れる体をつくれるよう持っていきたい」

「16周あったので、16回試せた」

レース後の囲み取材には洞ノ上、喜納、土田の3名が出席。

洞ノ上は、駐屯地でのコースの難しさを問われ「ラップが刻みやすい。16回刻めるのがありがたかったです」と答えた。

また、北京から数え4大会連続の出場を狙う。この選考会で決められなかった悔しさを見せた。
「北京・ロンドン・リオと出てそれぞれ過酷なレースでしたが、今回も何がなんでも突破してやろうと思っていた。大会を急遽開催していただきながら申し訳ないと思いました」

優勝したものの、悔しさを覗かせる洞ノ上(写真:内田和稔)

土田はトライアスロンでもパラリンピック出場を目標にしている。トレーニングが現在マラソンの強化期間の時期でないため、本来の力を出し切れない部分があった。

4月のパラトライアスロン アジア選手権に向けた調整を行いながら大会の開催を願った。

「みなさん本当に大変な中でご尽力されて成り立つ大会。どんな形になってもでもその大会に全力で挑むことが前提ですので、みなさんのお力を借りて世界に発信していきたいです」

トライアスロンの”二刀流”として調整している土田 (写真:内田和稔)

喜納は憧れと語る土田とのレースを振り返った。

「『直線に関しては20km/h少し超えるスピードでローテーションをして行こう』と話しました。ただ、レース中に風向きが変わってしまったので思うようには行かなかったです」

本大会を視野に入れて体を作っていきたいと語った喜納 (写真:内田和稔)

また、周回コースを走るのが今回は初めてというのもあり、洞ノ上同様に”16回試せた”と語った。

「風向きが変わる中でどのポジションで走れば良いか、道幅が広いのでどの角度で入れば減速せずに進めるかを試しました」

東京パラリンピックへの出場枠は男女最大3人となっている。
4月1日時点で2019年からの2年間の世界ランク6位以内に入れない場合は、「2018年10月1日~2021年6月までのWPA公認大会においてハイパフォーマンス標準記録を突破した選手のうち、東京大会8位入賞の可能性を基準に選考委員会にて推薦された選手」である”ハイパフォーマンス枠”を狙うことになる。

日の丸を背負い、国立の舞台に立つのは誰か。引き続き注目していく。

(執筆 白石怜平、編集校正 佐々木延江、丸山裕理、石野恵子、撮影協力 内田和稔)
※本時期は21年3月9日に「Paraphoto」で掲載されたものです。

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