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「技術を磨くPDCAサイクルが大きく改善」横浜DeNAベイスターズ 壁谷周介さん 世界の最先端チームから吸収した組織づくりと選手のパフォーマンスアップ

参考例として挙げたのがタンパベイ・レイズ。所属するアメリカンリーグ東地区には、資金力が豊富なニューヨーク・ヤンキースやボストンレッドソックスもいる激戦区。

レイズの総年俸はメジャー30球団中20位台後半を毎年推移しているが、そんな状況でも、19年は地区2位、20年・21年は2年連続で地区優勝を果たしているなど、少ない予算の中でもチーム力を高め上位につけている。

レイズは積極的にデータ活用へ取り組んでおり、多くのアナリストやエンジニアを採用し、チーム強化に役立てている。壁谷さんはそういった例に目をつけた。

さらに18年から19年にかけては従来のトラックマンに加えて最新機器を導入していった。

「一番分かりやすい例が「Rapsodo(ラプソード)」だと思います。ブルペンでの投球練習で投げると、『こういう投げ方をしたから、こういう軌道の球が行った』というのを1球ずつ繰り返しながらできるので、ピッチャーの球種や技術を磨くためのPDCAサイクルが大きく改善していきました」

データ活用を積極的に導入し、チーム強化へと繋げている(球団提供)

これらの技術を活用することで、実際に選手のパフォーマンス向上へと繋げた。ここで2人の選手の例を紹介してくれた。

「大貫(晋一)選手はすごく興味を持ってくれて、『自分はこういうスライダーを投げたいんです』というところから始まって、それを実現するために投手コーチやアナリストらと共同で試行錯誤しながら磨いていきました。

また、(21〜22年に在籍したフェルナンド・)ロメロ投手は、来日最初苦労したのですが、ファームで調整していたときに、ツーシームと対になるボールが必要ということで大家(友和)投手コーチからカットボールを教わったことで飛躍に繋がりました」

大貫投手は、プロ2年目の20年に10勝6敗・防御率2.53の成績をマークしブレイクすると、昨年はチームで唯一開幕から先発ローテーションを守り、自己最多の11勝、防御率2.77の成績でチームの2位躍進に貢献した。

ロメロ投手も来日1年目の21年は開幕当初は防御率7点台と壁にぶつかったが、上述のカットボール習得後に1軍へ昇格し好投を続けた。最終的には防御率3.01の成績を残した。

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