「年齢を重ねてもアクティブな世の中に」鈴木啓太が描いた世界とAuB設立のルーツ〜連載インタビュー第1回〜

アスリートの持つデータの”銀行”に

社名の”AuB”、これは「Athlete μ(マイクロ)biome Bank」の略である。

アスリートの腸内細菌データの受け入れ先=”銀行”となる。そんな想いが込められている。

AuB社の設立は2015年10月。鈴木の現役最終年の終盤である。元々はこの年の6月に話が持ち上がった。上述の自身の経験を基に、「アスリートだけでなく一般の方々にも役立てるのでは」と考え、実現したいという想いが日に日に強くなっていった。

鈴木は知り合いのトレーナーを通じて、便の研究をしている腸の専門家を紹介してもらった。ここで話が急速に進んだという。

「3人で会話していたのですが、『アスリートの腸内環境は特有かもしれないので、調べたら面白いのではないですか?』と話していたらどんどん盛り上がっていきましたね」

描いていたビジネスアイデアを具現化していった

アスリートの腸内細菌を研究するのが面白いと思った背景として「糞便移植」に目を付けたことにある。「糞便移植」とは、病気・疾患を持つ患者さんに対し、健康的な腸内細菌を移植する治療法である。

鈴木はアスリートの若い時の便は「選手にとっても体の状態が良い時である」そんな仮説を立てた。若い時に取得し、現役の時にコンディションが不調になったり、加齢とともに腸内細菌のバランスが悪くなってきたときに、既に取得したものを再度移植し直せばいいのではないかと考えたのだ。

「糞便移植をする場合は、他人の腸内細菌よりも自身の(腸内細菌の)方が定着しやすいだろうと。そこで、アスリートの若い時の便は体の状態がいいと考えられるので、うまく活用したら面白いのではないかと思いました。

そんな発想もあって『アスリートの腸内細菌の銀行みたいの作れたらいいよね』という話になり、アスリートの腸内細菌のデータバンク→AuBとなったんですよ」

面談した翌週には会社を設立する準備に早速着手。10月に正式にAuBが立ち上がり、鈴木は翌16年の1月に代表取締役に就任した。

設立当初のメンバーは5人。ヘルスケアの領域に精通している方や腸内細菌の研究をしてる方など、鈴木が築き上げた人脈を駆使してアサインし、第1期が本格的に始まった。

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