川崎ブレイブサンダース 地域とのコミュニケーションが創る絆「スポーツの域を超えたまちづくりに関わっている」

川崎ブレイブサンダース 地域とのコミュニケーションが創る絆「スポーツの域を超えたまちづくりに関わっている」

2018-19シーズンより、Bリーグ「川崎ブレイブサンダース」は東芝からDeNAへ経営権を承継。運営会社を「DeNA川崎ブレイブサンダース」として3シーズン目を終えようとしている。

クラブはこれまで川崎に密着した地道な努力を続け、人気・経営面で成果を出し続けている。

前回は株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース 川崎地区営業部の板橋大河さんに、地元企業とこれまでの関わりについてお話を伺った。

本編では、地域振興・アカデミー事業部の内藤誠人さんに協力いただき、自治体やクラブの運営するアカデミーの観点から川崎との関わりをお伝えする。

(取材協力 / 写真提供:川崎ブレイブサンダース)

川崎市とはお互いに提案し合う関係

内藤さんは川崎市及び7区とのタッチポイントを担い、クラブの運営するアカデミーを担当している。

行政主導で企画するイベントへの選手が参加や、グッズを参加者へプレゼントするなどを通じて交流を深めている。例として、2019年までは小学校へ訪問し、バスケ教室の開催・地域のお祭りへ参加などを続けていた。

コロナ禍になる前は積極的に地域に出向き交流を深めていた

しかし、昨年からコロナ禍になり対面での活動は全て中止に。他のプロスポーツ同様に”今だからこそできること”に重点を置き、市民と直接関わる機会を絶やさないよう模索する日々が続いている。

「地域の方々と直接的な接点を持つというのが格段に減ってしまったというのが実態だと思います。リアルに代わり我々も一部オンラインに切り替えるなどしていますが、行政主体のイベントなどではオンラインに対応しきれないケースもあります。なのでそう簡単に『リアルがダメだからオンラインでやりましょう』という話でもないので、そこが課題ではありますね」

ただ、川崎市はJリーグの川崎フロンターレそしてブレイブサンダースのたゆまぬ努力の成果もあり、スポーツが盛んな地域である。内藤さんも自治体とのやりとりの中で強く感じている。

「市や区の職員の方たちには何度もアリーナに来ていただいており、スポーツが大好きな方が多いです。企画のネタも『こんな話あるけどどう?』などと話しますし、僕らからも提案するので、お互いにいい関係を築けていると感じています」

BE BRAVE」の精神を浸透させる

内藤さんは地域振興に加え、アカデミー事業も担当している。

クラブが運営しているアカデミーは「川崎ブレイブサンダース ユースチーム」「チアダンススクール【IRIS GIRLS】」「バスケットボールスクール【THUNDERS KIDS】」の3つ。

ユースチームは、トップチームと一貫した指導方針を掲げ、U18・U15・U12・U15女子と4つの世代別で運営している。内藤さんは、ユースチームの考え方をこう解説した。

「(ユースチームの)考え方の1つとして、トップチームとどのようにつながっていくかを重要視しています。クラブのアイデンティティにある『BE BRAVE』というのを、ユースチームの中でどう浸透させるかはすごくこだわって指導しています。勝敗はもちろん大事ですけども、『BE BRAVE』の姿勢をパフォーマンスレベルでしっかりと体現できてるかをすごく大事にしていますね」

アカデミーもクラブのアイデンティティである「BE BRAVE」の精神が浸透されている

BE BRAVE

川崎ブレイブサンダースの選手をはじめ、コーチ、チームスタッフ、フロントスタッフを含むクラブと、応援してくださるファンの皆様方とが一体となって “B.LEAGUEを制覇し川崎からバスケットボールの未来をつくる” という目標に向かって戦う姿勢を表す言葉です。

(クラブ公式サイトより)

DeNA川崎ブレイブサンダースが発足した2018-19シーズンに制定されたクラブのアイデンティティ。この考え方はもちろん「IRIS GIRLS」や「THUNDERS KIDS」にも浸透されている。

トップチームの考えをアカデミーにも落とし込む。内藤さん始め、アカデミー事業部が最も大事にしているスタンスである。

子どもたちが早くバスケに触れられる場を

内藤さんは学生時代、バスケ部で活動していた。だからこそ、プレーする楽しさを知ってほしいという想いはより強い。

現在は仕事としてプロバスケットボールクラブの一員として関わるようになり、その想いがさらに強くなった。

それを実現する1つの場がバスケットボールスクールの「THUNDERS KIDS」。

4歳(年中)~小学校1年生、小学2~4年生、小学5年生~の3クラス制で、それぞれ初心者・経験者と2クラスに分けて運営。経験問わずバスケットボールを楽しめる場を設けている。

「子どもたちにバスケを早いタイミングから体験してもらえればと思っています。『バスケに興味ある!』という人たちをどこまで増やせるかもそうですし、体を動かす意味においても、気軽にバスケに触れやすい場を作りたいと考えています」

ー子どもたちにより早くバスケに触れる機会をつくりたいー

これは自身の担当である地域振興の面とリンクして広がっている。ホームゲームの日は雨天を除き、とどろきアリーナに移動式のゴールを立ててフリースローチャレンジ企画を開催している。

3月には川崎市の企画で、修学旅行に行けなかった市内の小学6年生に向けてよみうりランドの貸切イベントを開催した。その際もバスケットゴールを持ち込み、フリースロー体験を行うなど今も積極的に出向いている。

バスケットボールの普及活動を地域・スクール両面で行う中で、内藤さんもその手応えを感じている。

「数字におきましても、スクールに携わってる人数が僕がアサインした昨年9月以降でも生徒は増えていますので、広がりは感じていますね」

内藤さん(写真左)も、少しでもバスケに興味を持つ子どもたちを増やしたいという想いで取り組んでいる。

「&ONEプロジェクト」を通じた地域創生

バスケを通じた地域貢献はスクールだけにとどまらない。

ブレイブサンダースは、2020年9月よりSDGs(持続可能な開発目標)に取り組む「&ONEプロジェクト」を発足した。SDGs未来都市に指定されている川崎市と協定を結び、川崎をより「住んで幸せな街」にするために、一層力を入れている。

内藤さんもプロジェクトの一員として、仕事での経験を活用ながら街の活性化に向けて取り組んでいる。

「どうやったら行政と一緒にまちづくりができるかなを話しています。&ONEプロジェクトの1つとして、『川崎市に誰でも楽しめるバスケットゴールを立てよう』というのがあります。

実際、バスケットボールを建てるとしても、そこら辺に空いてるから立てようとは簡単にできないので、『どこなら作れるのか』『ここだったら喜んでもらえるのでは』などと議論を重ねています。スポーツの域を超えてまちづくりにも僕らが携わっていけるチャンスがあるのはすごいことだと感じていますね」

&ONEプロジェクトの一環で市内にバスケットゴールを設置している

川崎の域を超え”全国に応援してもらえるクラブに”

ブレイブサンダースは地域との連携強化に加えスポンサー増などにより認知度が年々上がっている。そしてコートの上でも天皇杯優勝、チャンピオンシップ進出と名実ともに人気クラブとなっている。

今後、内藤さんは自身の立場からブレイブサンダースをどんなクラブにしていきたいか。その想いを伺った。

「今回、天皇杯優勝して改めて感じましたけれども、さまざまな人たちに支えていただいているクラブだと改めて感じました。”川崎だから・自分の住んでいる街だから応援したい”とだけではなく、全国の方々から積極的に応援したくなるようなクラブでありたいなと思います。

地域や子どもたちの観点ですと、憧れられる存在でいる選手を身近に感じてもらい、『あの選手になりたいな』と目標を持って取り組んでもらえるようなそういう場づくり・クラブにしていきたいと思っております」

3編に渡り、お送りしてきたクラブの取り組み。常識にとらわれず新しいことに挑戦し続けている川崎ブレイブサンダースにはこれからも目が離せない。

(取材 / 文:白石怜平)

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