「次はブレイブサンダースさんだね」。ベイスターズから転身した営業マンが”川崎のシンボル”に向けて取り組んだこととは?

「次はブレイブサンダースさんだね」。ベイスターズから転身した営業マンが”川崎のシンボル”に向けて取り組んだこととは?

2017年12月、Bリーグ「川崎ブレイブサンダース」は東芝からDeNAへ運営を承継することが決まり、翌2018-19シーズンより新たなスタートを切った。

この3年間、川崎市に密着した地道な努力を続け、人気・経営面で成果を出し続けている。今回は、クラブの運営努力にフォーカスした企画をお届けする。

今回協力いただいたのは、株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース 川崎地区営業部の板橋大河さん。

承継のタイミングで横浜DeNAベイスターズからブレイブサンダースに移ったという板橋さん。当初どんな取り組みを行ってきたのか、地元企業さんとのやりとりを交えてお話を伺った。

(取材協力 / 写真提供:川崎ブレイブサンダース)

参入後、スポンサー数は約3倍へ

板橋さんは2018年の参入当初から営業を担当。同年6月時点は67社だったスポンサー数を165社(2021年4月現在)と3倍近くに拡大。クラブ経営を強化することに加え、市における認知度も大きく向上させた。

川崎地区の営業担当として、既存との関係維持に加えて新規のスポンサー獲得に向けて川崎市全域を回っている。これまでスポーツチームに協賛したことのない企業に向けて積極的にアプローチをしてきた。会話の積み重ねが信頼関係を築くことに繋がっている。

「もちろん『こんにちは!協賛してください』『はい!やります』ということは1社もありませんので、何度も何度もコミュニケーションを重ねることで応援したいなと思っていただきました。

大前提として、プロバスケットボールクラブですという説明から始めることが多いのですが、最近は認知度が上がってきましたのでブレイブサンダースの歴史や強み・日本代表経験のある選手もいるなどと会話の幅が広がってきています」

新型コロナウイルス禍になり、営業スタイルも変化しつつある。感染対策を行いながらお客様に合わせてオンラインと対面で行っているという。

「既存のスポンサー様との打合せはオンラインでさせていただくことが多いです。ただ、初めてのお客様はオンラインだとブレイブサンダースの良さとか、取り組みの内容を細部まで伝わりづらい面もあります。なので、直接来てほしいというご要望があれば伺うようにしていますね」

コミュケーションを大切にし、1社1社向き合っている

17年末、ベイスターズからブレイブサンダースに

板橋さんは2007年に中途で株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)に入社。2014年に横浜DeNAベイスターズへ出向した。

2017年12月に東芝からブレイブサンダースを承継することが決定したタイミングで、元沢伸夫氏(代表取締役社長)・藤掛直人氏(事業戦略マーケティング部部長)らとともに参画した。

DeNAは2011年12月に横浜ベイスターズを取得しプロ野球界に参入。その後、独自の企画やビジネス戦略などを展開し、横浜スタジアムを常時満員にさせるほどの人気球団へ押し上げた。

ブレイブサンダース参入当初は、ベイスターズで培ったノウハウを活用した。

「1年目はベイスターズでやって成功したことを愚直にやっていこうと。そういうのも求められてアサインいただいたと思っていましたので、やってみてバスケに合うことや川崎の街の特性を見極めていったのが1年目でした」

ベイスターズでは、”勝敗を問わずお越しいただける”ことを最も大切にしている。ブレイブサンダースにおいても、その考えを基に『アリーナに来たからには楽しんでいただけるおもてなしの準備』を根幹に施策を打っていった。

「オリジナルビールをつくりましたし、ベイスターズで最も人気なのは『YOKOHAMA STAR☆NIGHT』。ユニフォームを着る文化を植え付けるところからファンの皆さんに非日常的空間を味わっていただこうと。なので挨拶代わりと言わんばかりにDeNAに運営が移行した初年度の開幕戦でユニフォームを全員に配布するというイベントを実施しました」

ベイスターズで好評だったオリジナルビール販売(写真上)とユニフォーム配布(写真下、2020-21年デザイン)を応用した

前述で出たバスケならではのチューニング。それを最も表すことができたのは演出だったという。

「横浜スタジアムでも花火やドローンを飛ばしたり、音楽などの演出にこだわっていました。バスケは屋内スポーツなので音の反響も良いですし、暗転ができるので光の演出が入ると言う強みがありますので、ファンとの一体感がすごく生まれやすいです。音と光の演出はまさにバスケにチューニングしていった点ですね」

光の演出も組み合わせ、ファンとの一体感を生み出している

「次はブレイブサンダースさんだね」高まる期待

ブレイブサンダースは東芝小向事業所男子バスケットボール部がルーツ。1950年に創設され、70年以上にわたり川崎を本拠地に活動を続けている。

現運営体制となってからも2年シーズン連続でBリーグのチャンピオンシップ進出(※2019−20シーズンは終盤で中止)、2020−21シーズンも天皇杯優勝を果たすなど、強豪クラブとしてBリーグを牽引している。

名門クラブであるブレイブサンダースだが、営業活動を始めた当初はどんな印象を持ったのか。板橋さんからは意外な答えが返ってきた。

「正直、認知度は当初かなり乏しいとは思っていました。ブレイブサンダースを観たことがある・携わったことがある方々というのは数万人。川崎の人口は約150万人いる点を考えれば数%です。

そこからクラブはさまざまな活動を継続して認知度は上がっていますし、動員も増えてきました。実際に結果は出ていますが、伺うとまだ全然知らないということも言われることもありますので、今後も満足せずにPRし続けていく必要はまだまだあると考えています」

地元企業の期待を肌で感じていると語った

川崎市はスポーツ熱が高い都市として知られる。その要因はJリーグの川崎フロンターレの存在がある。1996年の創立から地道な経営努力を続け、人気・実力ともにJリーグNo.1のクラブとして川崎のシンボルとなっている。

板橋さんも営業活動を通じ、川崎市の企業様はスポーツへの理解がすごく高いと感じていたという。

「フロンターレさんの頑張りが大きくて、『次はブレイブサンダースさんだね』『頑張ってね、期待してるよ』といった励ましの声の方が圧倒的に多かったです。承継前の営業前には『(ベイスターズのある)横浜行くんでしょ』とか『ユニフォーム青くするんでしょとか』などと少し言われたこともありましたが(笑)」

地元企業の期待を受けスタートしたブレイブサンダースでのキャリア。しかし2シーズン目の昨年、新型コロナウイルス禍に襲われる。危機的な状況を迎えた中、どう向き合ってきたのか。後編でお送りする。

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