青学ラストゲームを迎えたSR渋谷 ジョシュ・ホーキンソンが感謝とともに噛み締めた”勝負の残酷さ”

4月26日のB.LEAGUE第35節、サンロッカーズ渋谷(SR渋谷)はアルティーリ千葉(A千葉)に85-87で惜しくも敗れた。 

SR渋谷にとって青山学院記念館をホームとする最後の試合。Bリーグ開幕から10年にわたりこの地で歴史を築いてきたクラブ、そして共に戦ってきたサンロッカーズファミリーにとっても、特別な意味を持つ一戦だった。

(写真 / 文:白石怜平)

「あの場面は、入ったと思いました」残り0.4秒の攻防

試合後、ジョシュ・ホーキンソンはこの一戦に懸けていた想いを口にした。

「本当に今日の試合は勝ちたかったです。自分たち選手にとってもそうですし、スタッフにとってもやっぱり勝ちたかった。本当だったら皆さんと最後を分かち合いたかったですけれども、それが叶わなかったのはとても残念であり、悔しい気持ちです」

試合は終始シーソーゲームの展開だった。序盤はベンドラメ礼生がボールタッチの回数を増やし、「彼も流れに乗れていたと思う」とホーキンソンも語った通り、第1Qで13得点をマークするなど試合を支配した。

最大10点差をつけるもA千葉も食らいつく。前半を50-44とSR渋谷リードで折り返すと、後半も最後まで譲らなぬ熾烈な争いが繰り広げられた。

ここでチームを牽引したのがベンドラメとともにWキャプテンを務めるホーキンソンだった。自ら得点を重ねるだけでなく、ディフェンス面でも体を張って相手のセカンドチャンスを阻止。コート上のリーダー格として味方に声をかけ続け、チームの士気を高めていた。

この日もチームの中心としてコートで活躍を見せた

最終Q残り1分18秒、相手ファウルを誘ってからのフリースローを2本とも沈め、一時は勝ち越し点を挙げた。しかし残り25秒で同点のシュートを決められるなど両者一歩も譲らない展開の中、その勝敗を分けたポイントは最後のポゼッションだった。

千葉Aの黒川虎徹がバスケットカウントによるフリースローを外した後、ドンテ・グランタムがリバウンド。そして、残り約3秒でベンドラメにボールが渡った。3ポイントエリアからシュート放った瞬間、ホーキンソンも勝利を確信していた。

「本当にあの場面、入ったと思いました。最高の形でこの青学での最終戦を終えられるなと思っていました」

だが、無情にもボールはリングを通らなかった。そして時間は0.4秒が残った。A千葉に最後のチャンスが渡るとトレイ・ポーターがブザービーターを決め85-87で終了。

青山学院記念館でのラストゲームは誰もが想像しない形での決着となった。黄色く染まったアリーナは歓声から一転悲鳴へと変わり、選手たちも呆然と立ちつくすことしかできなかった。

「非情ながらシュートが入らず、こういう結果になってしまいました。でもこれも人生の一つだと思いますし、スポーツの一つだと思います」

勝負の残酷さを受け止めながらも、会見で語った言葉の端々には悔しさが滲んでいた。

何が何でも勝利する気持ちで自身、そしてチームが臨んだ試合だった

試合後に述べたシーズン通しての課題

今回の惜敗について、ホーキンソンは単なる運だけで終わらせることはしなかった。「シーズンを集約したようなゲームだった」と振り返り、この1試合の中に今シーズン通してチームが抱えてきた課題が凝縮されていたと述べた。

「こういったシーソーゲームでは、1本のターンオーバーや、たった一つのコミュニケーションミスが最終的に大きく結果としてのしかかる。

我々はもっと、どの段階でもワンポゼッションを大切にしなければならなかったですが、それをやりきれなかった部分は今シーズン多くあったと思います」

点差を広げられる場面で広げきれず、詰められた場面で守りきれない。ホーキンソンは「今シーズン、こういうゲームを強く勝ち切って終わることができないのが我々だった」と自戒を込めて語った。

「ラストショットが入らなかったことだけが全てじゃないです。その前に積み重なった小さなミス、疎かになってしまった部分の積み重ねが、最終的にこういう形での負けを招いてしまった。それがシーズンを通してあった我々の課題でした」

試合後にキャプテンらしく、シーズン全体を見てのコメントも寄せた

ただ、ホーキンソンの活躍はこの試合でも光っていた。GAME2では両チーム最多の21得点に加え、5リバウンド・3アシストを記録。前日のGAME1でも13得点・8リバウンド・4アシストなどと存在感を示し、第35節の2試合を通じて攻守にわたってチームを支えた。

特にGAME2ではフリースローを7本すべて沈め、3ブロックもマークした。インサイドで身体を張りながら外からシュートも狙い、ディフェンスでは砦としてリング下で相手の前に立った。

今季ここまで58試合すべてに先発し平均15.8得点・7.3リバウンド、3ポイント成功率は40.2%を誇る。アウトサイドでも脅威となる存在は、SR渋谷攻守の要であり続けた。

この試合において自身が果たした役割について問うと、懸けていた想いを強く語った。

「個人の気持ちとしてお話させていただくと、本当に今日のゲームはめちゃくちゃ勝ちたかったです。自分もしっかり活躍しながら、いろんな選手を関与させながら、みんなで勝ち取りたかった」

自分が点を取ることだけではない。周囲を活かし、チーム全体のリズムを作って全員で勝ち切る。そのためにコートに立ち続け、フォア・ザ・チームの精神を貫いた。

点を挙げるだけでなく、仲間を活かして戦ってきた

「築いてきた価値は変わらない」特別な場所・青学

青山学院記念館は、ホーキンソンにとっても特別な場所となっている。2023-24シーズンからSR渋谷に加入し、3年間ホームアリーナとしてプレー。歓声を背に受け、嬉しさや悔しさなど様々な感情をこの場所で刻んできた。

「自分たち選手やスタッフにとってもそうですが、何より応援し続けてくれたファンの皆さんがいたからこそ、この青学という場所は特別な場所になっています。3年間、ここでプレーできたことは本当にスペシャルな経験でした」

関わる全員が”ありがとう、青学。”の想いを持ってプレーした

勝利という形で恩返しをすることは叶わなかったが、ホーキンソンは感謝の言葉を繰り返した。

「今日負けたからと言って、皆さんが築き上げてきたこの特別な場所の価値が変わることはないです。最後は皆さんとお祝いをしたかったので、それができなかったことだけが残念ですが、私はとても感謝しています」

勝って祝福を届けることはできなかった。それでもクラブがこの場所に注いできた想いと、形を問わず関わってきた人たち全員の感謝は確かに残った。

青山学院記念館で築き上げた10年の歴史は今後も燦然と輝き続け、これからもサンロッカーズを照らす光となる。

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