
松井秀喜さんが野球少女に伝えた“強く・確実に打つ”極意 説いた打撃の基本と素振りの意味
9月12日に明治神宮外苑室内球技場で開催された「サンリオベースボールアカデミーin東京」。
首都圏の女子野球チームでプレーする小学生58人が参加し、高橋由伸さん、松井稼頭央さん、五十嵐亮太さんら世界を舞台に戦ってきたプロ野球OBから直接指導を受けた。
前編での「投げる」「捕る」に続き後半はいよいよ「打つ」へ。
ここから新たに講師として加わったのが、巨人やヤンキースなどで活躍し日米通算507本塁打を放った松井秀喜さん(ヤンキースGM付特別アドバイザー)。
世界の舞台で培った経験に基づく考え方を、巨人時代一緒にプレーした高橋由伸さんと共に、未来を担う野球少女たちへと伝える時間になった。※全2回のうち2回目
(写真 / 文:白石怜平)
テーマは「強く・確実に打つ」
松井さんは打撃編が始まるタイミングで子どもたちの前に姿を現し、拍手とともに驚きの声に包まれた。
巨人では3度の本塁打王、ヤンキース時代の2009年にはワールドシリーズMVPに輝くなど、日米通算507本塁打を記録した球史に名を残すスラッガー。
そんな大打者が子どもたちへ最初に伝えたのはどんな球が来ても「強く・確実に捉える」確率を高めること。それを小学生に向けてシンプルに解説する。
「構えはどんな形でもいいと思います。それぞれ足の上げ方も違いますし、タイミングもそう。みんなの心地のいい構え・心地のいいタイミングの取り方でいいです」

そのうえで松井さんは確実性を上げるために大切なポイントを一つ伝授した。
「それにはボールを長く見た方がいい。長く見た方が、球が速くても少しゆっくり感じるかもしれないし、変化球が来ても対応ができるかもしれない。バッターにとって可能性が広がります」
では、どうすればボールを長く見ることができるのか。松井さんはバットを手に取り、自らの身体を使いながら説明していく。
「どうしても強く打とうとすると体が前に出てしまうんですけども、僕は左足の内側に体重を残すようにしています」
もう一つのポイントである強く打つことについて。これは直前で述べた”距離”が関係している。
「ここに溜めた力を一気に使う。手はなるべく後ろの方が、ここまでの距離があるので、力を必要以上に使わずにボールに伝わります」

松井さんが説いた“素振り”の重要性
2つのポイントを話した松井さんが大事にしていた練習。それは「素振り」である。
巨人時代、長嶋茂雄監督に素振りをチェックしてもらうのが毎試合のルーティンだった。ここではなぜ素振りが大事なのか、その根拠を付け加えた。
「ボールはないよね?つまり、自分の意識した形で振ることができます。自分がどうやって打ちたいかを確認する時はボールがない練習をして、ボールが来た時に同じように打てるようにするためにも大事な練習です」

この説明を高橋由伸さんが補足し、子どもたちの理解をさらに深めていく。高橋さんは松井さんの挙げた「ボールを長く見る」ことについて、タイミングの取り方を解説した。
「松井さんが”距離を取る”って話したと思うけども、タイミングはピッチャーが遠くに行った時に自分も遠くに行くようにしたら、一番ボールを長く見れるようになります。例えばティーバッティングでも、ボールが遠くなった時に自分も遠くに動いてみましょう」
これは素振りでも実践できると続けた高橋さんは、選手たちに振る時にイメージすることを伝えた。
「自分でピッチャーが投げるシーンをイメージする。ピッチャーの持つボールが遠くに行ったのをイメージして、自分も距離を取ると、どんなピッチャーでもタイミングが取りやすくなるので、ぜひやってみてください」

ここからは代表して選ばれた4人の選手がバットを手にすると、松井さんがスイングをチェック。一人ひとりに松井さんがアドバイスを送り、子どもたちも感激する様子を見せた。
そして最後は自身が「明日の試合に向けての練習に(笑)」とバットを持ちお手本を披露。鋭いスイングから快音が響き渡り、会場中の視線を釘付けにした。

2人が贈る女子野球へのエール
すべてのプログラムを終えた際、最後に講師陣からそれぞれ子どもたちへメッセージが送られ、松井秀喜さんは最後にマイクを持った。
「今日はみなさんの上手くなりたいという気持ちがすごく伝わってきました。野球をやっているといいことやそうでないこともたくさん出てくると思います。ですが、ぜひ皆さんには長く野球を続けてほしいと思います」
翌日にはイチロー選抜「KOBE CHIBEN」の一員として4番で出場し、2安打1打点の活躍を見せた。
デモンストレーションで快音を鳴らしたことにも触れながら「もし明日いいバッティングできたらみなさんのおかげだと思います」とも語っており、まさに期待に応えてみせた。

そして終了後、高橋さんはプロ野球球団が女子チームを持っていることや上述のイチローさんらが毎年試合を行っていることを踏まえながら女子野球の可能性について言及した。
「続ける環境もできてきていますし、今日のような取り組みで未来の選手の支援もしつつ、明日の試合もみなさんの目標になると感じています。
確かに少子化なので野球人口が減っているかもしれないですけども、野球を選択してくれて今後も増えていくと思いますし、そういった意味では僕らが野球ができる環境をつくっていくことが大事なことだと考えてます」
松井さんは「今日はみんなのエネルギーになってくれたら嬉しい」と、子どもたちの生き生きとした姿を見て感じたことを述べた。
また、最後に選手たちそして女子野球界に向けてエールを送った。
「僕は応援しています。今は続けていける環境があると思いますし、もっともっとレベルが上がってほしいと思っています」
野球を楽しむ少女たちの笑顔と、その野球をこれからも続けられる環境を次の世代へ。
5回目を迎えたサンリオベースボールアカデミーは、女子野球の未来へ新たなきっかけを届ける一日となった。
(了)
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