
「野球は楽しい」を未来へつなぐ 球心会「BEYOND OH! PLAY KIDS」が描いた一日
6月14日、明治神宮外苑で「BEYOND OH!PLAY KIDS」が開催された。
「一般財団法人 球心会」が主催する本イベントでは、グラブに初めてボールが収まり、バットに当たった打球に思わず笑顔がこぼれる1日になった。
そんな”野球との最初の出会い”を数多く生み出した1日を、会場の熱気とともに振り返る。※全3回中1回目
(写真 / 文:白石怜平)
さまざまな形で野球の接点を生み出す場を創出
野球界全体が今「競技人口減少」という避けて通れない課題と向き合っている。
少子化に加え、子どもたちの遊びやスポーツの多様化が進む現代において、「野球を始めるきっかけ」をいかに創出するかは、競技の未来を左右する重要なテーマとなった。
野球界を取り巻くさまざまな課題を乗り越え、野球を未来につなぐべく昨年設立されたのが「一般財団法人 球心会」である。
王貞治代表・栗山英樹副代表を中心に、NPBやアマチュア野球界、企業など様々なステークホルダーが連携。
「日本のスポーツ界全体から世界的ヒーローが生まれ続ける未来」を掲げ、50年後、100年後を見据えた環境づくりを推進している。

活動の軸となる「BEYOND OH! PROJECT」では、「機会づくり」「環境整備」「市場づくり」、そしてそれらを支える「体制・財源づくり」の4つを柱に据え、野球界全体の持続的な発展を目指している。
その中でも、多くの子どもたちが最初の一歩を踏み出す入口として位置付けられているのが「BEYOND OH! PLAY KIDS」である。
このイベントは「野球をする子どもたち」のみならず、「まだ野球を知らない子どもたち」に野球の楽しさを届けることを目的とした体験イベント。
「投げる」「打つ」「走る」といった基本動作を遊びながら体験し、プロ野球OBや大学野球選手などとの交流を通じて、野球を身近に感じてもらうことを目指している。
競技経験や技術レベルを問わず、親子で参加できることも大きな特徴で、昨年11月に東京ドームで初開催された際には、多くの野球未経験の親子が来場した。
参加者アンケートでは「野球をやったことがない」子どもたちが4割を超え、「楽しそうだったから」という理由で訪れた家族も多く、まさに野球との新たな接点を生み出す場となった。

子どもたち、そして親御さんへ贈った王代表からのメッセージ
前回の反響に引き続き、今年は5月に甲子園球場・そして6月に明治神宮外苑で「BEYOND OH! PLAY KIDS」が開催された。この日は王代表も駆けつけ、子どもたちが笑顔で楽しむ様子を1日かけて見守った。
神宮球場で行われたオープニングセレモニーでは全体に向けて挨拶した王代表。
「今日こんなに多くの親御さんや子どもたちにお集まりいただいて、大変嬉しく思います」と述べると、野球への想いも詰まったメッセージを贈った。
「野球はやると本当に楽しいんです。小さいお子さんたちにとっては最初難しいと思うんだけど、段々とできるようになりますから。どうぞ今日を機会に野球をこれからもずっと続けてもらえたらと思っています。
今日も大学野球の選手やプロ野球のOBなど来ていますので、楽しんでもらいながらそういった方たちとの距離を近く感じてくれたら、『よし、あぁいう選手になるために頑張ろう』と、思ってもらえると思います。
お父さん・お母さんも大変かもしれないですが、何より子どもさんの成長が一番の楽しみだと思うんですよね。(野球を通じて)体も強くなってたくましくなってね、精神的にも強くなって将来にとってものすごくプラスになります。
なので今日を機会に親子で一緒に野球をやって、野球部に入ってみたいと感じてもらえるように、ぜひ楽しんでください」

ベースボール型スポーツ全てを体験できる場に
本イベントは「第75回全日本大学野球選手権大会」と連動しており、大学野球の聖地かつプロ野球の歴史を築いてきた神宮球場も舞台の一つになった。
グラウンド全体を活用し、ティーバッティング・ブルペンピッチング・塁間ダッシュといった野球の動きを通じて、身体を動かす楽しさやボールを捉える喜びを五感で味わえる点にある。


NPBのアカデミーコーチも参加し、王代表が挨拶で述べた通りかつてプロ野球の世界で活躍したOBたちが子どもたちに丁寧に指導。
加えてコーナーの中にはソフトボールやBaseball5も盛り込まれ、“ベースボール型競技”を一度に体験することができ、野球界全体が一つになる過程が確かに構築されていた。

また、今回は神宮外苑軟式野球場と神宮外苑室内球技場の2つの拠点もシームレスに繋がり、存分に野球を楽しめる場が用意された。
開放感あふれる軟式野球場では野球にまつわるお仕事体験コーナーも設けられた。訪れた子どもたちは球場整備員として一緒にグラウンド整備を行うなどプレー以外に新たな発見の連続となった。
室内球技場ではNPBの女子選手が指導役を務めるピッチング体験や、MLBの球団でも多く採用されているバッティング解析・シミュレーションシステムHitTrax(ヒットトラックス)を用いた計測を設置。
東大野球部員と共に打球データのチェックを行うなど、様々な角度で野球の魅力を余すことなく体感できるプログラムが展開された。


アンバサダーによるキャッチボール企画も大盛況に
球心会には66人のアンバサダーがいる。いずれも野球界で活躍を収め、球史に名を残す面々が名を連ねている。
今回のイベントでは「ドリームキャッチ」のコーナーでアンバサダーが参加し、親子たちが羨望の眼差しを送りながらキャッチボールで交流を深めた。
今回参加したアンバサダーは、井口資仁氏・岩隈久志氏・上原浩治氏・立浪和義氏・東尾修氏の5名。2人ずつ3部に分かれて一人ひとりボールを受けた。


終了後は子どもたちを囲んで質問コーナーも設けられる。岩隈氏は苦手だった打者は誰かという問いに、
「西武ライオンズの松井稼頭央さんです。6割くらい打たれていました」
と答えると保護者たちが驚きの反応を見せた。またコントロール良くボール投げられるにはどうすればいいかという質問については、現役時代に意識していたこととして、以下のように回答した。
「僕は現役時代、投球フォームを大事にしていました。正しいフォームでリリースポイントをいかに安定させるかを意識して投げていました」

「BEYOND OH!PLAY KIDS」の後半ではトークショーが開催された。上原氏・井口氏そして王代表が登壇し、会場は一層の盛り上がりを見せる。
(第2回へつづく)
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