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30年以上続くプロ野球OBクラブの野球教室が市川市で開催 16名のOBが次世代へ継承する技術と情熱

4月29日、千葉県市川市で「第32回 シグマイン全国少年少女野球教室 2026」が開催された。16名のプロ野球OBが講師を務めた大規模な野球教室は、100人を超える市内の少年少女にとって貴重な学びと実践の場となった。

(取材 / 文:白石怜平)

30年以上続く、プロ野球OBクラブの象徴的取り組み

本野球教室は、30年以上にわたり日本プロ野球OBクラブが主催している野球の普及活動。毎年4月〜6月の間に行われ、開催地も全国規模に展開されている。

「100万人とキャッチボールを!」をテーマに掲げ、元プロ野球選手たちが子どもたちに野球の魅力や楽しさを伝えることで、野球界の裾野の拡大や青少年の健全な育成を続けてきた。

長年にわたり積み重ねられてきたこの活動は、地域に根差した野球振興と競技人口の拡大に寄与するとともに、子どもたちに夢や目標を与える機会として大きな役割を果たしている。

市川市の国府台スタジアムで行われたこの日、16名のプロ野球OBが集結した。

【講師:五十音順・()内は現役時所属】

飯田哲也氏(ヤクルトー楽天)
大木勝年氏(ヤクルト)
小笠原道大氏(日本ハムー巨人ー中日)
黒木実氏(日本ハム)
定詰雅彦氏(ロッテー阪神)
副島孔太氏(ヤクルトーオリックス・ブルーウェーブ)
立花龍司氏(近鉄ーロッテ※コンディショニングコーチ)
丹波健二氏(ロッテ)
橋本将氏(ロッテー横浜)
服部泰卓氏(ロッテ)
武藤一邦氏(ロッテ)
武藤潤一郎氏(ロッテー日本ハムー西武)
水上善雄氏(ロッテー広島ーダイエー)
森宝生(西武)
森博幸(西武)
谷沢健一氏(中日)

開会式では森宝生氏が講師陣を代表し、以下のように挨拶を述べた。

「我々プロ野球OBは、現役時代を支えてくださった皆さんに向けてこのイベントで少しでも恩返しができればと思い活動しています。

今日は野球の技術の向上だけではなく、みんなが仲間と一緒に笑ったり、スポーツマンシップを学んだりして、将来を担う子どもたちが心身ともに健やかに成長する思い出の一日となりますよう、サポートできればと思っております」

キャッチボール上達に向けた4つのポイント

最初の守備のプログラムでは、投手・捕手・内野手・外野手に分かれて行われた。内野手部門では、水上氏・丹波氏・小笠原氏の3名が担当。水上氏が中心となって丁寧にレクチャーを行う。

特に野球の基本となるキャッチボールに時間を多く使った。

「①ボールの握り・②軸足・③踏み出す足・そして④相手を思う気持ち。この4つができればキャッチボールは必ず上手くなります」とし、一つひとつ紐解かれていく。

子どもたちを招いて実際にボールを握ってもらうなど、コミュニケーションを取りながら進め、「正しく握ることは、ストレートをいい回転で速く・強く・正確に投げるためです」とその重要性を説いた。

明るい解説でボールの握り方から解いた水上善雄氏

繰り返し述べたこの重要性だが、その根拠は参加している子どもたちの多くが目指すであろうあの場所に繋がってくるからだった。

「甲子園でも多いエラーは暴投です。軟式球なので縫い目に沿って持たなくても投げられてしまうけども、将来硬式球でやるとなった時にしっかり握れないとボールは遠くに投げられないです」

続いて投げ方の基本へ。足の使い方へと移り、冒頭で挙げた②③の説明を加えていく。

「右で投げる人は右足、左で投げる人は左足。その軸足を相手にまっすぐ向けること。速く強く正確に投げるためには、必ず相手に向かって投げる意識が大事です。

踏み出す方の足は、開いたりクロスしたりすると体を崩してしまう。まっすぐ出すことでケガの防止にもつなります」

実演で綺麗なボールを投げてのお手本を見せた

そして大切なのは技術だけではない。その心構えにも踏み込んだ。

「4つ目の“気持ち”。投げる人は相手が取りやすいところに投げようとする気持ち、そして捕る人は相手のミスも自分がカバーしてあげる気持ちを持つことです」と語り、お互いを思いやることが野球の上達につながることを伝えた。

守りにおける構え方や打球の捕り方、最後はノックで実践する。教わったことを体で覚えるべく、講師3名が打った打球をひたすら捕った。

「プロだからできるんじゃない。みんなもできるようになります」。水上氏の言葉通り、基礎を徹底することの価値を体感させる指導は子どもたちにとって確かな学びの時間となった。

講師陣からのノックで実践も交えた

投手が安心する構えは柔軟性から成る

捕手は橋本氏と定詰氏が担当。ここでは橋本氏の指導に焦点を当てていく。

橋本は捕手に必要なスキルである「キャッチング・スローイング・ブロッキング」の3点をそれぞれ伝授した。

キャッチングを始めるに当たり、捕手にとって必要な要素の一つに「股関節の柔軟性」を挙げる。まず全員で開脚し、柔軟性をチェックすると共に自身にまつわる意外な話も明かした。

「キャッチャーだから体が硬いとダメ。柔らかくすれば低い構えも捕りやすくなる。でも、実は自分も高校3年までこの中で一番体が硬かった(笑)。低い構えもしんどいけど、これは努力で上手くなるよ。

俺も元々こんなにできなかった。でも、今日一日やったからってできるようにはならない。毎日継続することが大切だから」

捕手では橋本将氏が一つひとつ動きを交えながら技術を伝えた

柔軟性を見た後は「構え」について。走者がいない時といる時で違うことを説いた上で、橋本氏は全員を横一列に並べた上で、徹底的にフォームを確認した。

「左膝をついて構える。見た目も大事だよ。ピッチャーに安心感を与えるイメージを持って。右足はあんまり開かない。少し閉じて脇をちょっと当てるようにして構える」

ここで、構えからつながっていく“動ける準備”についても示す。

「ミットが体から近すぎないように。あと、かかとが浮いているかどうか。 右のつま先に少し体重をかけるイメージで。

キャッチャーの仕事には『捕る、止める、投げる』がある。お尻に体重が乗ってしまうと、それらが全部できなくなって動けなくなる」

状況が変わり、ランナーが一塁にいる場面を想定した橋本氏。ここでは送球動作を見据えた構えを解説した。

「ランナーが一塁にいたら、右膝をつくスタイルもよくやる。投げることを意識して足を広げるけども、膝は少し中に入れる。ここで一番大事なのは、膝の中に肘を入れないこと。

膝の内側に肘を入れると、ボールが捕れなくなる。肘は膝の外に出す。そうすればどこでも捕れる」

構え方も一人ひとり細かくチェックした

また、足の使い方も走者がいない時とは明確に区別させた。

「足の内側に力を入れよう。ベタッとならない。少し半身になるぐらいでいい。体が硬いなら、もうちょい足を狭くして左足を少し前に出す。バランスを保つこと。内側に力を入れておかないと、次の動作にいけないからね」

キャッチングは「ストライクをボールにさせない」

キャッチングにおいて橋本氏は、最も大切と考えていることを子どもたちに伝えた。

「『ボールをストライクにする』という考え方があるけれども。一番大事なことは、ストライクを確実にストライクと判定してもらうこと。 つまり、ストライクをボールにしない。そのためには下から捕る必要がある」

下から捕る練習で動きのリズムを得ていった

また、体の使い方についても言及。家でもできる練習法を紹介しながら、子どもたちの引き出しを増やしていった。

「昔は『ミットを突きなさい』と言われたが、今はそんな時代ではない。ミットの先を下げることを怖がらずに、下から捕る。これは家でもできる練習があって、ショートバウンドをお互いに投げ合って捕る。

後は体がガチガチになると止まっちゃってその一点しか捕れないので、柔らかく使って動きながら捕るイメージで」

外野・投手でもそれぞれ講義と実践を交えて行われた。後半はバッティング編へ。ここではプロで通算2000本以上の安打を放った、伝説の打者が特別にその極意を共有した。

つづく

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