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背番号1の“誇り”を形にするために 栗山巧とライオンズそしてファンが共創する「PR1DEシリーズ」

2026年8月30日をもって現役生活にピリオドを打つ栗山巧選手。

ライオンズ一筋25年、通算2151安打をマークしている“ミスター・ライオンズ”の花道を、栗山選手と球団そしてファンが想いを一つにして今築いている。

同日まで展開している「PR1DEシリーズ」、これは単なる引退企画ではない。

栗山選手自身がファンへ恩返しをする場であり、そしてファンが栗山選手へ感謝を伝える場。それと同時に球団が選手とファンを繋ぎ、全ての想いを具現化するプロジェクトでもある。

球団史上初とも言えるプロジェクトの裏側に迫るべく、その中心を担う事業部の栗原一彰さんに話を伺った。※全2回のうち1回目

(取材 / 文:白石怜平、表紙写真:©SEIBU Lions)

引退発表の直前に伝えられた栗山選手の想い

昨年11月24日、栗山選手は契約更改後の会見で26年シーズン限りでの現役引退を表明した。シリーズはその直前、ロッカーでの一言から始まっていく。

引退の意向を公になる前に聞くこととなった栗原さんは「衝撃でした」と、その時のことを明かしてくれた。

「私がロッカーで『ちょっといい?』と呼ばれまして、来季の去就についての想いを伝えられたんです」

昨年11月契約更改の席で、今季限りの引退を自ら発表した

今回取材に協力いただいた栗原さんは、選手や監督・コーチといった現場とイベントや広報などの球団運営とを繋ぐ役目を日々務めている。栗山選手とも長きにわたり直接関わりを持つなど、理解者の一人としてサポートを行ってきた。

突然の報告に一度言葉を失った栗原さんだが、その後の栗山選手の意図を聞き、その瞬間使命へと変わった。

「栗山選手の想いとしては、『1日だけの引退試合だとその日しかない。ずっと応援してくれた熱心なファンでもそこに合わせられないかもしれない。

なので1年間かけてシリーズとして行うことで、ファンの皆さんに還元できる機会をたくさん作りたい』

その言葉をロッカーでもらった時、これはすぐに形にしなければならないと奮い立ちました」

記者会見を終えた直後から球団内の関係部署、イベントを企画するチームで連携され、プロジェクトが始まっていく。

1シーズンかけてファンの方々へ恩返ししたい想いから始まった ©SEIBU Lions

栗山選手と共につくり上げてきた企画の数々

シリーズ名の「PR1DE」は、“誇り”という意味を持つPRIDEに背番号「1」を添えたもの。このフレーズの選出について栗原さんは、スムーズに決まったと語る。

「自分の芯や軸を持っているという意味で、候補として他はあまり出なかったと思います。“PRIDE”という言葉がすぐ出てきて、全員一致で決まりました」

PR1DEシリーズはこのように部署を横断し、40人以上の社員が関わるプロジェクトになっている。一つの施策で関わる人数は球団としては過去最大規模だという。

誇りを表す「PRIDE」と背番号を重ね合わせた

運営サイドとして、統一した想いを持って制作に励んでいると栗原さんは語った。

「我々としては、栗山選手の野球選手としての姿や人間性も具体化しようと考えていて、球団が一丸となって栗山選手にふさわしいものを作っていこうという想いでやっています。なので、より一層気を引き締めてやらなければならないと感じています」

コンテンツは栗山選手と密に連携を深めながらつくりあげている。その一つが今年限定で設立された栗山巧選手のファンクラブ 「TEAM PR1DE ~栗山巧 OFFICIAL FANCLUB~」。

球団として初めて設立する選手個人のファンクラブでは、“ファンと一体になってかけがえのない時間を過ごす”想いが込められている。その証ができる過程を栗原さんは明かしてくれた。

「ファンの皆さんと一体になれるものは何かと栗山選手と話をした時に、『リストバンドだったら付けられるよ』とお話をいただきました。

試合中に身につけるアイテムの数やルールはNPBの規定で定められているのですが、そこもしっかりと確認したうえで、リストバンドをつけてプレーしているので、そこでファンの皆さんと一体になれている実感があります」

今季そのリストバンドを着用してプレーしている ©SEIBU Lions

PR1DEシリーズは今季ベルーナドームで行われる公式戦にて3回に分けて実施している。

1回目が4/11(土)・12(日)のオリックス戦、2回目が6/26(金)〜28(日)の北海道日本ハム戦、そしてファイナルが8/28(金)〜30(日)の東北楽天戦。

現時点で2回を終えているが、両方で注目を集めた企画の一つが軌跡をたどる特別展示「PR1DE SERIES Episode」。Episode1では栗山選手本人が所有するユニフォームを通じて25年の歩みを振り返るとともに、実際に使用する選手ロッカーも再現された。

この展示が実現するまでのエピソードも栗山選手の人柄が溢れるものだった。

「何か飾れるものはないですかとロッカーで相談したところ、『そこにいろいろあるよ』といって、遠征バッグに過去のユニフォームが取り溜めてあるのをその場で見せてくれて。これはすぐに展示できると思いました」

「PR1DE SERIES Episode」も栗山選手自身が全面協力した ©SEIBU Lions

Episode2では“記録と人柄”がテーマ。最多安打やゴールデングラブ賞、球団初のゴールデンスピリット賞といった栄光の品々や、ライオンズの歴史をも彩る記録を一覧できるエリアが設けられた。

さらに選手や監督・コーチたちが語る栗山選手の印象、ルーキーの選手を中心とした若手選手たちの質問に栗山選手が回答するなど、人柄にも触れられる内容となった。

ここでも、栗山選手からの手厚いサポートがあったからこそ実現できたことを続けて明かした。

「『(08年に獲得した)最多安打の盾も実家にあるから一緒に見てもらえる?』と伺わせてもらい、実際に見せていただきました。タイミングが合う時に栗山選手も(実家に)来て一緒に見ながら選びました。ですので、一つ一つの企画を一緒につくり上げているんです」

Episode2は記録にまつわる展示も行われた

プロジェクトを通じてさらに栗山選手との会話が増えたと語る栗原さん。改めて近くで接することで、球団やファンなど関わる方たち皆の想いに応えたい気持ちは一層強まっていった。

つづく

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