
【連載】〜若獅子が描く「獅考」の足跡〜「3年後には一軍のリリーフ投手に」西武育成ルーキー・斎藤佳紳が描く目標への道筋
近年、若手の台頭が著しい埼玉西武ライオンズ。その育成現場において今年ライオンズのユニフォームに袖を通した背番号3桁のルーキーたちが着実に歩みを進めている。
連載第2回は、独立リーグ・徳島から入団した本格派右腕の斎藤佳紳投手。
自ら設定したテーマをマウンドで実践しながら、課題を言語化し自立していく若獅子の覚悟を紐解く。
(写真 / 文:白石怜平)
独立リーグ・徳島から入団した本格派右腕
昨年のドラフト会議で育成3位指名を受け、徳島インディゴソックスからライオンズの一員となった斎藤佳紳。最速152キロの直球とキレのある変化球が武器の右腕は、現在三軍で先発ローテーションの一角を任され、実戦経験を積んでいる。

5月28日に千葉スカイセイラーズ戦に先発登板した斎藤は、7回を投げ3失点と試合をつくった。
ライオンズでは1日のテーマを事前に設定して終えてから振り返る“リフレクション”を毎日必ず行っていることから、そのテーマに沿って臨んだことを試合後明かしてくれた。
「独立リーグ時代は先発でのMAX(の球速)が152km/hでした。試合前に目標設定をするのですが、MAXを超えるために前回登板から今日まで過ごしてきました」
相手打者をねじ伏せるため、そして自身の限界を越えるため。斎藤はこの試合に向けて、自らの肉体と感覚を用いた「実験」を繰り返してきたという。
「色々試行錯誤しながら、『これを意識してみたらどうなるか』『あの動きを取り入れてみたらどう変わるか』と。今日のマウンドは、それをどこまで出せるかという形の部分をとにかく意識して投げていました」

この日の最速は148km/hだったが、単に”速い球を投げたい”という欲求ではなく、一球ごとに明確な意図を込めて自らの投球フォームやエネルギーの出し方を検証した。
ただ、これらは全て打者をアウトにするために磨いていること。斎藤は球速以外にも打者との駆け引きや試合状況にも目を向けながら投げ込んでいた。
「打者の反応や状況もしっかり見ていました。『ここは三振を取りにいかなければいけない場面か』『ゲッツーが欲しい場面か』を常に考えながら、キャッチャーが出すサインの意図を汲んで投げることを意識していました」

目標は「一軍のリリーフ」に設定
ライオンズの若手育成において、今や根幹を成しているのが「獅考トレーニング」。入団1〜2年目の選手を対象に、主体性と言語化能力を高めるための研修である。
今シーズンの短期目標・3年後の中期目標、そして10年以上先を見据えた長期の目標を設定する。加えて毎日その日のテーマを設定し、終了後に振り返る“リフレクション”を行っている。
5月中旬に同期と共に一回目を受講した斎藤は、自身が描く未来像を明かしてくれた。
「3年後の自分はどうなっていたいかという目標設定の中で、僕は一軍のリリーフ投手として定着する目標を立てています。今は先発で投げていますが、自分の希望はリリーフです」

現在務める先発とリリーフでは役割は異なるが、自身の中で明確な軸を持って己と向き合っていた。
「1イニング、1イニングをどう抑えるか。どういうパフォーマンスを出していくかは、先発でも中継ぎでも変わらないと思っています。そこはすごく意識しながら、今の先発のマウンドでも毎イニングを投げています」
一軍のマウンドでチームの勝利に貢献する。その前提を見失わないように目標に向けたアクションを積み重ねている斎藤。
「チームから与えられたポジションで結果を出し続けるしかありません。やるべきことは、そこだけですね」
真剣な表情には、プロとしての自立した覚悟と育成選手であるという危機感が滲んでいた。
上述の登板で3失点と挙げたが、その失点の内訳とピンチの場面で見せた粘り強さにこそ、今後さらに成長するうえで収穫につながるものだった。
打ち取った当たりが不運な形で安打になったシーンや、5回1アウト一・二塁であわや同点のピンチだった局面は、この日一番の踏ん張りどころだった。
「試合が終わった後の投手ミーティングで、『記録はヒットだけど、エラーに近い内容だから、そこはもう気にしなくていいよ』と。
あと5回に失点した後のピンチでは青木(勇人:ファーム投手コーチ)さんがマウンドに来てくれて、『ここを粘ろう。取られた点は仕方ないら、絶対ゼロで抑えて帰ってこよう』と声をかけてもらいました」

その一言が斎藤の背中を押し、青木コーチの指示通り追加点を許すことはなかった。
「しっかりその言葉を頭に入れて、ブレず打者に向かって投げていくことができました。そこで崩れなかったのは、自分の中でもすごく良かったです」
次の6回を三者凡退、7回も無失点で先発としての役目を全うし、今後の成長へとつながる登板だった。
自ら成長を感じている“言語化能力”
斎藤が成長を感じているのはマウンドの上だけではなかった。獅考トレーニングやリフレクションを通じて、自身の考えを言葉にする力についても言及。
思い描いたことを言葉で相手に伝えるのは簡単ではないと、当初のことを思い起こした。
「自分の気持ちや技術的な課題をどう簡潔にまとめたらいいのかがすごく難しかったです。コーチや人財開発の皆さんに伝わるように伝えなければいけない。ただそれを毎日続けることでまとめられるようになっているので、前より成長できていると感じています」

当初は記載するのに1時間以上かかったこともあったそうだが、今では先日の試合のように明確なテーマや将来の目標を示すことができつつある。
自ら課題を見つけアクションプランを設定し実践する。そんな姿は、ライオンズの選手として理想の姿である“主体性”を体現していた。
現在も三軍で先発を務める斎藤は、近い将来一軍の投手としてベルーナドームのマウンドに立つ日を目指し、今日もまた次の課題と向き合っている。
(了)
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