
【連載】〜若獅子が描く「獅考」の足跡〜 未来への土台が確かな成長へ 西武・今岡拓夢が次に磨くは“自ら修正する力”
2026年シーズンも終盤に差し掛かり、埼玉西武ライオンズの若獅子たちはそれぞれの課題と向き合いながら着実に歩みを進めている。
ドラフト育成2位ルーキー・今岡拓夢内野手はフィジカル強化をテーマに掲げ、継続してきた体づくりは数字とプレーの両面に変化をもたらし始めている。
そして同時に、日々のプレーから課題を見つけ、修正方法を自ら考える姿も見られるようになっていた。
(写真 / 文:白石怜平)
着実に表れるフィジカル強化の成果
5月末に話を伺った際、今岡はシーズンの大きなテーマに「体づくり」を挙げていた。
高校3年生だった昨年8月には侍ジャパンU-18代表として「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」では大会最多本塁打を記録。強打の内野手としてプロの門を叩いた。
しかしいざプロの世界へ飛び込むと、一軍や二軍でプレーする選手たちと体つきの違いを目の当たりにした。
ウェイトトレーニングだけでなく体幹や柔軟性も含めて鍛錬を継続し、入団後から体重は3キロ以上増・打球速度も約5km/h向上するなど、その成果はすでに数字として表れていた。
そこからさらにトレーニングを重ねた現況を聞くと、今岡からは明るい答えが返ってきた。
「とてもいい感じです。5月・7月・9月と計測しているのですが、腕の太さとか胸回りとかも伸びているので、このまま続けていきたいです」
定期的に数値を計測することで、自らの成長を可視化している。そしてその変化は体のサイズだけでなく、実戦でのプレーにもつながっていた。
「やはり打球が強くなった感じがします。長打も出るようになりました」

前回の取材では「野手の間を抜いていくような中距離打者になりたい」と将来像を語っていた今岡。その実現に向けて取り組んできたフィジカル強化が、少しずつ打球の強さに表れている。
一方、体を大きくすることで動きが鈍くなれば本末転倒となる。
その点についても今岡自身は認識しており、単純に体重を増やすのではなく、野球のパフォーマンスにつなげられるように体づくりを続けていた。
「体重が増えて動きが鈍くなったらダメだと思います。でも今のところそのような感覚はないので、順調に体を作れているのかなと感じています」
不調の原因を自ら分析し、次の行動へ移す
フィジカル面で順調な成長を遂げているが、すべてが思い通りに進んでいるわけではないという。
9月中旬時点で今岡は自身の打撃について「今はあまり状態が良くない」と率直に口にした。だが、そこで終わらないところに今岡の成長を垣間見ることができた。
「なぜ悪いかを考えた時に、下半身が使えていないなと。そこが悪いと分かったので、練習ではより一層下半身を使うことを意識して取り組むようにしています」
好調時の自分と現在の自分を比較しながら違いを探した中、見つけ出した日々の課題。そして、この日の練習でも「下半身を使うこと」をテーマに設定していた。
「バッティングが良かった時も、下半身を使っているイメージが一番ありました。今は感覚的に良くないので、無意識のうちに下半身が使えなくなって調子も悪くなっていったのではないかと。なので今一番意識してやっていますね」

ライオンズでは若手選手を対象に「獅考トレーニング」を実施している。
中長期的な目標を設定するだけでなく、毎日のテーマを自ら考えて終了後には“リフレクション”を行うことで、自身の課題や取り組みを言語化。今岡も入団からそのサイクルを繰り返している。
前日には、育成を担当する広畑塁・人財開発担当兼ブルペン捕手との面談を行っていた。その際に打撃や守備など技術面も含めて「何が改善点で、次にどうしていくのか」を整理したと明かしている。
直近見据える目標はフェニックスリーグ
現在地から必要なものを考え、一日単位の行動へ落とし込んでいく過程は、球団が構築し浸透させている“獅考”の形をこの1年で身につけつつある。
今岡はシーズン当初に設定した目標について「変えていない」と話す。
フィジカル強化を軸に置きながら今季は「打率3割」「守備率.980以上」を目標に掲げ、さらに次なるターゲットも明確に定めていた。

「フェニックスリーグでしっかり結果を残したいです。アピールしたいなと思っています」
体づくりを最優先に始まったプロ1年目は、徐々に次のフェーズへと進み始めている。自らの状態を分析・修正し、プロとして戦うための土台を積み上げながら、背番号「112」は次なる目標の舞台へ向かっている。
(了)
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