
【連載】〜若獅子が描く「獅考」の足跡〜「トップを走っていなくても努力で届く」西武・濱岡蒼太が掲げた“公立高校の星”への挑戦
埼玉西武ライオンズの三軍には未来を担う若い才能たちが集まり、それぞれがプロとしての土台を築いている。その中で高卒1年目ながら独自の歩幅で成長を続けているのが、育成4位で入団したサウスポー・濱岡蒼太投手である。
入団テストを経てプロ入りを果たした未来の“公立高校のスター”は、得意と語る目標設定で具体化しながら、己の課題と向き合っている。
(写真 / 文:白石怜平)
「トップを走っていない」だからこそ掲げた目標
神奈川県立川和高校という公立進学校からライオンズの入団テストを受験し、昨年のドラフト会議にて育成4位で指名された背番号「124」。
身長176cm/体重87キロと投手としては決して大柄な部類ではないが、150km/hに迫るストレートに加えて一軍クラスとも言われる変化球のキレや球質が持ち味である。
濱岡は全国区の強豪校でエリート街道を歩んできた選手ではない。それでも自らの力でプロの世界へ辿り着いた背景には、確かな努力と積み重ねがあった。
5月に獅考トレーニングを受け、自分自身の目標を整理しながら課題を言語化。解決策を逆算して組み立てており、その積み重ねはライオンズの育成システムの中でさらに輪郭を強めている。

このように自らの現在地を見つめ直している濱岡は、「元から最終的な目標を立てるのが得意」だと述べた上で、自身なりに獅考トレーニングを経て設計した計画を明かしてくれた。
「まず近い距離の目標を立てるようにしていて、今年であればフェニックスリーグで先発していいピッチングをすることを目標にしました」
一般的に目標設定というと、防御率や勝利数・投球回数といった数字が先に来ることが多い。しかし濱岡はあえて抽象化していた。そこにも自身なりの意図が込められていた。
「まだ先発を一度もやってないので、何イニング投げるとか具体的な数字を決めるよりは、客観的に見て良いピッチングをすること。例えば2失点に抑えるとか、クオリティスタートするとか、そういった内容をフェニックスで出したいと思っています」

一方で長期的なビジョンも設定しており、それは単なる数字や一軍という枠に留まらない社会的な意義を帯びたものだった。
「自分は育成選手で公立校出身なので、トップを走ってきた人間ではないです。そうでなくても、『努力すればプロの世界でトップになれるんだ』というのを、子どもたちに示すことを目標にしています」
「自信を持って腕を振れるように」
5月某日、ライオンズ トレーニングセンターのブルペンで一球一球丁寧に投げ込む濱岡の姿があった。
「まだ高卒1年目で長いイニングを任せてもらえるような状態ではないですし、自分の持っているボールを完全な状態でいつも投げられているわけではないので、まずはしっかり自信持って腕振れるよう練習しています」
その後ろで榎田大樹ファーム投手コーチが視線を送る。数球投げ終えると熱心に話し込み、身振りを交えて確認するシーンも見られた。練習で取り組むに当たって以下のテーマを設けている。
「獅考トレーニングでも整理した話ではありますが、今の自分のテーマとしては『頭が突っ込まないこと』、そして『ステップした足が着地した時のバランス』。そこを一番の課題にしています。コーチとも課題から逆算してやってみようと話していますね」

独立リーグのチームやクラブチームの打者と対峙し、テーマに沿って試行錯誤を重ねている最中の濱岡。一日一日を無駄にしない仕組みを活用しながら、成長へのステップを歩んでいる。
「毎試合・練習が終わったらリフレクションと言って、反省やミーティングをコーチと1対1で必ずやります。その時に出た課題を、次の1週間で練習して潰す。そしてまた次の試合に臨む。今はそういうサイクルで毎日の生活を送っています」
今は一歩ずつ前へ進み、濱岡蒼太という投手の土台を確実に形作っている。
秋のフェニックス・リーグで、ルーキー左腕がどんな答えを示すのか。“公立高校の星”を描く道で今、自らの可能性を証明するために腕を振り続けている。
(了)
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