ユニクロ×ドジャースが野球でつなぐ未来 世界一の舞台で生まれた日米交流

ユニクロとロサンゼルス・ドジャースは8月21日(現地時間)、国際野球交流プログラム「UNIQLO × Dodgers Baseball Exchange」を「UNIQLO Field at Dodger Stadium」で開催した。

前日には、日本とロサンゼルスから集まった42名が球団の歴史やスポーツの社会的役割を学ぶ「UNIQLO Field at Dodger Stadium Academy」を実施。

2日目となる今回は、世界少年野球推進財団(WCBF)の協力のもと、日本から12名、アメリカから18名の約30名が参加した。日米混成チームをつくり、ドジャースのコーチ陣や日米でプレーした髙橋尚成氏らから世界最高峰の技術を学んだ。

さらに午後には、ロサンゼルス山火事の被災地域にある学校へ通う子どもたちを招待。「The Heart of LifeWear with The Dodgers」と題した地域貢献活動も行われた。

(文:白石怜平、写真提供:UNIQLO)

「UNIQLO Field at Dodger Stadium Academy」の様子はこちら

世界一軍団の現役コーチらによる豪華野球教室

前日には学びの舞台となった球場が、日米の子どもたちをつなぐ野球教室へと変わった。

球団施設やクラブハウスなど世界一の選手たちが日々過ごす環境で、投球や打撃・守備・トレーニングなどの指導を受けた。

指導役は、ドジャースの三塁コーチを務めるディノ・イーベル氏、打撃コーチのアーロン・ベイツ氏、ストレングスコーチのトラビス・スミス氏の現役コーチ陣が務めた。

さらに、ドジャース往年の名投手として活躍したオーレル・ハーシュハイザー氏、巨人やメッツ・エンゼルスなどでプレーした髙橋尚成氏が加わり豪華な顔ぶれに。

ドジャースの現役コーチそして、オーレル・ハーシュハイザーが参加した(提供:UNIQLO)

髙橋氏は、世界最高峰の環境で野球を学ぶ機会についてこのように語った。

「日本の子どもたちがアメリカまで来て、世界一のチームであるドジャースの球場に入れることが、まず素晴らしいことです。子どもたちにとって、かけがえのない思い出になりますよね」

髙橋氏が伝えたのは、技術以前に「野球を楽しむこと」の大切さだった。

「このような機会は、人生の中でも経験したことがないくらいうれしいことだと思います。だからこそ、思い切り楽しむことを心掛けてほしいと話しました。みんなが実践してくれていたので、僕もうれしかったです」

元日本人メジャーリーガーの髙橋尚成氏も講師を務めた(提供:UNIQLO)

主に投手陣の指導にあたる中、日米の子どもたちからは多くの質問が寄せられた。その姿から、少しでも多くのことを吸収しようとする意欲を感じたという。

現在もアメリカで生活する髙橋氏は、異なる文化の中に身を置く経験にも価値があると考えている。

「言葉が通じなかったり、文化が違ったりすることを肌で感じることで、日本の良さや世界の素晴らしさが分かると思います。早いうちに経験できたことは、野球だけでなくこれからの人生でもいい経験になったと思いますね」

若い時から言葉や文化の違いを経験する貴重な機会にもなった(提供:UNIQLO)

最後に髙橋氏は、参加者の中から将来メジャーリーガーが生まれることにも期待を寄せた。

「とにかく野球を好きでいてほしいです。この中から一人でもメジャーリーガーが出るように、僕らも微力ながら協力していきたいと思います」

野球離れが課題となる中、子どもたちが心から楽しいと思える機会をつくることは、競技の未来を支えることにもつながる。

“世界のホームランキング”王貞治理事長も共感する「基本」と「国際交流」

そして今回、特別にWCBFの王貞治理事長がメッセージを贈った。ユニクロとドジャースが地域社会への貢献に取り組み、日米の子どもたちを対象とした野球教室を開催したことを「大変素晴らしい」と評価した。

その上で強調したのが、野球における基本の大切さだった。

「野球も基本が大事なので、野球教室で基本をしっかり教えてもらう。特にアメリカは百年以上の野球の歴史を持つ先進国ですから、そのコーチの人たちに教えてもらうことは、子どもたちにとってすごくいいことだと思います」

基本となる技術をここで学んだ(提供:UNIQLO)

長い歴史の中で培われた技術を現地の指導者から直接学ぶ。その経験はすぐに結果として表れなくても、成長を続ける中で意味を持つ時が訪れる。

王理事長も「後になって『あの時に教えてもらってよかった』と思えるはずです」と、その価値を語った。

さらに今回を一度きりで終わらせず、継続することが日米の野球界に好影響をもたらすと期待している。

「これから先どんどん広がっていけば、もっと日本とアメリカの野球が近くなるし、日本の野球のレベルも上がる。みんなで仲良くやることが平和にもつながるわけですから、もっと輪が広がると思います」

野球教室で身につけるものは、投げ方や打ち方だけではない。異なる国で暮らす同世代と出会い、互いを知ることも国際交流が持つ大きな意義を持つ。

日本とアメリカの野球が改めて交わった日となった(提供:UNIQLO)

新たな発見の連続だった日米の野球文化

今回のプログラムでは日米混成チームが編成され、各チームに通訳を配置した。子どもたちは国籍の異なる仲間と一緒に練習へ取り組んだ。

日本から参加した小山瑚太朗さんは「ドジャースのグラウンドで練習ができると聞いて、とてもワクワクしていました。海外の人とも関わることができて、とても楽しかったです」と振り返った。

ピッチングとバッティングの指導を受ける中で、アメリカの子どもたちの練習に対する考え方にも違いを感じたという。

「日本では団体で練習することが多いですが、アメリカでは一人ひとりが自分で考えて、個人の能力を上げていくような練習をしていました。そこが日本とは違うと思いました」

野球においても両国の違いを体感したという(提供:UNIQLO)

打撃練習では佐々木朗希選手のストレートを体感したことが印象に残った。

「これからは自分で考え、足りないところをしっかり練習して、もっと上手な選手になりたいです。そしてメジャーリーグで野球ができるように頑張ります」

同じく日本から参加した濱田健龍さんは、スタッフや通訳が笑顔で接してくれたことで「とても練習しやすい雰囲気だった」と語る。

外野守備では「ターンする時に身体を切るのではなく、顔を動かして追うと捕りやすい」と具体的な指導を受けた。

また、アメリカの同世代と一緒にプレーしたことで、技術以外の発見もあった。

「現地の子たちはコミュニケーションを取りやすい雰囲気があり、みんな笑顔でした。そういうところを日本でもまねしていきたいです」

練習方法についても、日本では実戦形式や全体で取り組むメニューが多い一方、アメリカでは必要な動きを短時間で反復するドリル形式が多く、効率の良さを感じたという。

さらに打撃では「現地の子たちは空振りしてもいいというくらい思い切りフルスイングしていた」と、その積極的な姿勢に刺激を受けた。

濱田さんは教わった内容を書き残すなど貪欲に吸収し、特別な一日を思い出だけで終わらせないよう自らの成長へつなげようとしていた。

互いに刺激し合い、成長する時間となった(提供:UNIQLO)

被災地域の子どもたちの元へ”サプライズ登場”

同日の午後には「The Heart of LifeWear with The Dodgers」が開催され、昨年1月のロサンゼルス山火事で被災した地域の学校へ通う生徒15名が招待された。

ユニクロからエアリズムのTシャツを寄贈するセレモニーが行われたほか、子どもたちは試合前のドジャースの選手たちによるバッティング練習を間近で見学した。

さらにデーブ・ロバーツ監督がサプライズで登場。思いがけないゲストを前に子どもたちは目を輝かせ、笑顔で交流を深めた。

スポーツが社会に対してできること。それは喜びや希望を共有し、困難に直面した地域へ寄り添うことも、その大切な役割の一つである。

前日のアカデミーでは球団の歴史やスポーツの社会的役割を学び、2日目には日米の子どもたちが一緒に白球を追った。そして午後には、被災した地域の子どもたちへ特別な時間が届けられた。

“ハート”を通じてスタジアムが一つになった(提供:UNIQLO)

王理事長が語った「基本」と交流の価値、髙橋氏が伝えた「野球を楽しむこと」。そして、世界最高峰の環境で得た技術や海の向こうに暮らす仲間との出会いは、それぞれが成長を続けるための確かな土台となる。

ユニクロとドジャースが創出した野球教室は、日米の子どもたちの未来と地域をつなぎ、新たな一歩を踏み出すためのかけがえのない財産となった。

(つづく)

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